前の話
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📺️
『それでね、卒業式ママが大泣きしちゃって』
『もー…やめなさい』
『そういえば、中学の合格発表でも泣いてたよね!あははっ!』
『ほんと恥ずかしい〜』
何で恥ずかしいんだろう…お母さんがいるの嬉しくないの?
13年前の4月1日のことだ…赤ちゃんだった私はここの施設に預けられた
私のお母さんらしき人は私の入ったバスケットを施設に置くと何も言わずすぐに走り去ってしまったんだって
バスケットのタグに「桜(なまえ:千がつく名前)」と書いてあったからそれがそのまま名前になった
それから、水色のハート型をしたペンダントが入っていた
それが唯一の家族とのつながり
まただ…
今までに何度も聞かされた話
わかってるよそんなの…知ってるんだから何度も言わないでよ…
私、一人で生きていけるのかな、一人で生きて一人ぼっちで死んでいくのかな…
いい未来なんて一つも想像できないよ…
必要なお金を出してくれたり、家に住ませてくれたり、ご飯を作ってくれたりする…何があっても助けてくれる、心配してくれる、居場所をくれる、支えつづけてくれる…
そんな人が私の未来には一人もいないんだ…
・身寄りのない子どもだけで一戸建てに住む。
・家には、自分専用の一人部屋が用意される。
・その家から近い公立の中学校に進学する。
・家と家賃は国が出してくれる。
・それとは別に、毎月決まった額のお金が、生活費として国からもらえる。
・もらった生活費から、食費、水道光熱費などを支払うことで、やりくりを学ぶ。
なるほど…
子供四人だけで普通の家で、まるで大人みたいに暮らすんだ
毎月決まったお金がもらえるなら安心かな…?
確かに自立にはいい練習になりそうかも…
私が「子供」でいられるのは中学生と高校生、合わせてあと6年しかない
遅かれ早かれ自立しないといけない時はやって来る
もし…この計画に参加したら、一人でも生きていける
強い自分に変われるかもしれない…
逃れられない運命ならいっそ立ち向かってみるのも、「あり」なのかな…
ガタッ
ガタッ
バサッバサッ
一つのチラシが目にとまった
ロゴが四葉のクローバーだ可愛い…!
緑、赤、水色、ピンク…
他の三人は一体どんな子たちなんだろう…
「頑張ってね!」
「ありがとー!」
緊張するなぁ
靴が何個かあった
他の子たち…もう来てるんだ!
確か集合は一回廊下の右手のへや…ここだよね
よぉし…!
ガチャリ
わ、私がいる!?
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。