あなたside
思い出のブランコに腰掛け、彼を待つ。
座った瞬間、あの頃の感情が蘇った。
好きなのかわからなかった。
でも私たちは確かに特別な存在だった。
昔はときめかなかった彼に、
再会した今、ドキドキしたのは事実。
昔に『結婚しよう』と言われたのは、
彼もきっと本気ではなかった。
けど彼はずっと、私を特別と思ってくれていた。
私も、彼のことを忘れることは無い。できない。
初めて好きになった人。
それが北斗くんなのか、分からない。
年齢も年齢だったし、
お互いに本気の恋ではなかった。
お互い、再会してから想いが実ったんだ。
最初に特別だと思えたのは、北斗くんだった。
どうしてだろう。
恋に苦しくなれたのは、目黒さんだった。
ぼーっと考えていると、
ブランコの柵越しに北斗くんがいた。
心配した顔をしながら、
私の隣のブランコに腰かける。
私はブランコごと北斗くんに体を向け、
膝に手を置いて話をした。
北斗くんはそう私に微笑み、
私は目黒さんの元へ走った。
そんな北斗くんの言葉は、
私には届かなかった。
𝐍𝐞𝐱𝐭➸













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!