志麻side
あなたの命は、残り僅かです。
言われた言葉が信じられなかった。
なっ…何を言ってるんですか!?
ですから、黄百合さんの命は残り1年…いえ、半年だと。
…ッ
指が動かなくなるのは初期症状…次に歩くことが出来なくなります。
今すぐに入院をして頂きます。
失礼ですが黄百合さん、あなたの今のご職業は?
パティシエの専門学校に通ってます。
将来はその道に…行こうかと…
心無いことを申しますが、その夢は諦めることになります。
ガタッ!
俺は椅子から立ち上がる。
医者が冷たい目で俺をみあげる。
志麻くんええよ。大丈夫。
センラが俺を宥める。
なんでこんなことを言われて…平然としてられる?
自分のことではないが、許せない。
入院します。よろしくお願いします。
病院から帰る時、センラが俺に語った。
志麻くん…2人でお店を開くって言ってたけど、出来なくてごめんな。まさかこんなことになると思わんくてさ。
ううん。そんなことはええんよ。俺はあの医者が気にくわん。
ほんとのことやもん。あの人は悪くないよ。
そう言って笑うセンラ。
西陽に透き通る彼の髪色。
それがとても綺麗で、夜なんか来なければいいのにと本気で思った。
それから家に帰ると、センラの荷物とか色々まとめて、病院に行った。
黄百合さん。熱はどうですか?
36.5です。
平熱はどれくらいですか?
36.0くらいです。
ありがとうございます。
点滴打ちますね。
はい。
月崎さん、ちょっと。
はい。
俺はうらたに呼ばれて外に出た。
黄百合さんのご両親は?
いません。
ご兄弟は?
いません。
ご親戚は?
いません。
…そうですか、それは失礼なことを。
あの。
なんでしょう。
もう少し、人のことを考えるようなしゃべり方はできないんですか?
センラのことを考えて、優しく語りかけるとか!
うらたは少し考えた後…
癪に障るようなことをしたなら謝ります。
ですが、我々は医者です。現実をそのまま伝え、現実をそのまま知る必要がある。
人のことを考えてない、月崎さんはそうおっしゃいました。
うらたは少し怒ったような顔をして俺に近づいた。
ふざけるのは大概にして頂きたい。
我々は患者のことを第一に考えている。仮にそれがあなたに患者を考えてるように聞こえないのなら…
俺は睨みつけて口を開いた。
あなたは人を笑顔にするパティシエにはなれない。
うらたはそう吐き捨てると、病室に入った。
…
『ふざけるのは大概にして頂きたい。
我々は患者のことを第一に考えている。仮にそれがあなたに患者を考えてるように聞こえないのなら…あなたは人を笑顔にするパティシエにはなれない。』
知ったようなことを…
俺はしばらくそこから動けなかった。
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