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第5話

不覚にも
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2023/11/07 11:55
奈々
それでそれで!!付き合ってるんでしょ?
あなた
うん、まぁ…一応?そんな感じだと思う、多分
奈々
えぇ!なにそれ、なにそれ!!この前読んだ少女漫画にそっくり展開じゃな〜い!!最っ高!!
昨日早帰りして買った少女漫画の新刊を抱きしめて悶える奈々ちゃん。


何かが恋愛脳みそに刺激を与えたのか


「それから、それから!?」とグイグイ聞いてくる。
あなた
あー、特にない
奈々
絶対嘘じゃん!てか、ないなら作るべし!放課後デート行ってきたら!?デート、デート!!

罪悪感に浸りながらデートとか地獄すぎる。


想像しただけで鳥肌が立つ。


私とのデートなんか楽しくないに決まってるし。
あなた
………
奈々
あなたの下の名前!聞いてる?
あなた
ん?なに?
「もう、今新刊の話してたのに〜!ちゃんと聞いてて!」と


怒りながらも幸せそうに新刊の話をする奈々ちゃん。









私は恋愛事には興味がなく、


少女漫画もそんなに読んだことがないからよく分からないけど


好きな人が出来たら私もキュンキュンできるのかな、


とかは自然と考えしまう。


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奈々
あなたの下の名前!バイト入ったから今日の遊びなしで!ごめん!
あなた
了解。全然いいからたっぷり働いてきな

奈々ちゃんのバイト先は、人が集まらないことがほとんどで


いきなりバイトを頼まれる事も多い。


最初はドタキャン嫌だったが事情を説明してくれたしで慣れた。
葛葉
あなたの下の名前!、さん
あなた
葛葉くん

私はバイトや塾をやっていないので、


無くなった予定をどう埋めようか悩んでいた所、


葛葉くんに声をかけられた。




呼ばれて返事はしたが、それ以降の会話はない。


何か私に用事があるのか、ただ呼んだだけなのか。
あなた
えーっと……
葛葉
あ!あっと……スッー、一緒に帰りませんか?
あなた
え、あ…はい。帰りますか
葛葉
叶達に帰れなくなったって伝えてくるんで、ちょっと待っててください!!

そう言って葛葉くんは教室を出て廊下を駆け出しどこかへ向かった。


最初に約束があったのならそっちを優先しても良かったのではないか、


とも思ったがよくよく考えれば誘ったのは彼の方だし…




私が悩む話でもないという結論に至った。



顔を真っ赤にして一緒に帰ることを誘ってくる葛葉くんを見て






不覚にも可愛いと思った。

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