昨日早帰りして買った少女漫画の新刊を抱きしめて悶える奈々ちゃん。
何かが恋愛脳みそに刺激を与えたのか
「それから、それから!?」とグイグイ聞いてくる。
罪悪感に浸りながらデートとか地獄すぎる。
想像しただけで鳥肌が立つ。
私とのデートなんか楽しくないに決まってるし。
「もう、今新刊の話してたのに〜!ちゃんと聞いてて!」と
怒りながらも幸せそうに新刊の話をする奈々ちゃん。
私は恋愛事には興味がなく、
少女漫画もそんなに読んだことがないからよく分からないけど
好きな人が出来たら私もキュンキュンできるのかな、
とかは自然と考えしまう。
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奈々ちゃんのバイト先は、人が集まらないことがほとんどで
いきなりバイトを頼まれる事も多い。
最初はドタキャン嫌だったが事情を説明してくれたしで慣れた。
私はバイトや塾をやっていないので、
無くなった予定をどう埋めようか悩んでいた所、
葛葉くんに声をかけられた。
呼ばれて返事はしたが、それ以降の会話はない。
何か私に用事があるのか、ただ呼んだだけなのか。
そう言って葛葉くんは教室を出て廊下を駆け出しどこかへ向かった。
最初に約束があったのならそっちを優先しても良かったのではないか、
とも思ったがよくよく考えれば誘ったのは彼の方だし…
私が悩む話でもないという結論に至った。
顔を真っ赤にして一緒に帰ることを誘ってくる葛葉くんを見て
不覚にも可愛いと思った。