第43話

聞いてもいいですか
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2024/04/23 20:25 更新
あなた
浄化のお陰で妖が居なくなってますね。心做しか空気も美味しいです。
あんなに沢山いた妖が、帰りは全く居ない。
ぷりっつ
そうだな。
あなた
そう言えば肩の傷は大丈夫ですか?今日は薬箱を持って来ていないので、どこかに施薬院があれば良いのですが…
ぷりっつ
大丈夫だ。だがどこか泊まれる場所を探した方がいいかもしれない。疲弊したまま夜道を歩くのは危険だ。
あなた
確かにお腹も空きましたし、身体がだるいですね。
そうして二人は近くで泊まれる宿を探す事にした。
あなた
すみません、今晩泊まりたいのですが、お部屋は空いていますか?
一部屋空いておりますよ。ご案内致しましょうか?
あなた
一部屋で大丈夫ですか?
ぷりっつ
え?あ、あぁ…お前が良いなら良いが。
あなた
ではお願いします。
宿屋の女将が二人を部屋へ案内する。
湯殿は突き当たりの戸を出たところに御座います。湯浴み中は入口に立札を置いて下さいね。
あなた
すみません、包帯や傷薬はありませんか?
御座いますよ。お食事と一緒にお持ちしますね。
あなた
ありがとうございます、助かります。
女将はぺこりとお辞儀をすると部屋を出て行った。
あなた
先に湯浴みされますか?
ぷりっつ
いや、俺は後でいい。
あなた
分かりました。ではお先に。
あなたは部屋に置かれた湯浴み着を手に取り、湯殿へ向かった。
部屋に一人になったぷりっつは、心を落ち着かせる為に深く深呼吸をする。
ぷりっつ
あれは本当にどういう意味だったんだ…
好きな人と紹介された割には平然とし過ぎでは無いだろうか。ただ好ましい人間、という意味で言ったのだろうか。

そんな考えがぷりっつの頭をぐるぐると回る。

暫く部屋の隅で頭を抱えていると、襖の奥から声を掛けられた。
失礼致します。お食事をお持ち致しました。
ぷりっつ
入ってくれ。
あら、お連れ様はどちらへ?
ぷりっつ
湯浴みに行った。もう戻ってくる頃だろうから置いていて貰って構わない。
左様ですか。もし冷めてしまったらお声掛け下さいね。
湯浴みを終えたあなたが部屋に戻ると、質素だが食欲を唆られる食事が用意されていた。
あなた
わ〜!美味しそうです!食べるの待っていてくれたんですね。
ぷりっつ
さっき来たばかりだから、どうせなら一緒に食おうと思ってな。
あなた
ぷりっつって食事を一緒にとると言う感性が備わっていたのですか。
ぷりっつ
どういう意味だ。
あなた
いや、だって昔は先に食べてろって感じだったじゃないですか。一緒に食べた方が楽しいとかは思わない方なのかなと。
ぷりっつ
まあ、そう言われるとそうだったかもな。お前と食う飯は美味いと…いや、何でもない。今のは無しだ。
あなた
あら?顔が赤いですね。何を言おうとしたんです?
ぷりっつ
うるさい、黙って食え。
あなたが少しからかうと、ぷりっつが更に顔を赤くして話を逸らした。
食事を終え、ぷりっつが湯浴みに行った頃。
あなた
はぁ、私ってばなんという事を…ちょっと大胆すぎましたよね。ああ〜…
またしても部屋で一人苦悶する者がいた。
あなた
好きな人なんて紹介しちゃって、まだ本人にも伝えてませんのに…!それに一部屋!?同じ部屋で寝るんですか!?
己の思いがけない大胆さに今更気が付いたものの、今から宿を変えるなんて事は勿論できない。
あなた
絶対軽い女だと思われてます…
そうして部屋の隅に座ってしょんぼりと反省していると、ぷりっつが部屋に戻って来た。
あなた
おかえりなさ…い……
ぷりっつ
ああ、ただいま。どうした?
濡れた髪に湯浴み着があまりにも色気を放ちすぎている。
あなた
いえ…な、なんでもありませんので…早く寝ましょう。
眠ってしまえば彼の色気も目に入る事は無いと思い、そそくさと寝る準備を始めた。
ぷりっつ
その前に、自分じゃ包帯が上手く巻けなかったんだ。巻いてくれないか?
あなた
えっ、あ、はい!もちろん!
ぷりっつは肩をはだけさせ、その場に座った。
あなた
傷口は大きいですが、思ったより深くはないですね。少し染みますよ。
あなたが傷口に薬を塗ると、ぷりっつの体が強ばる。
あなた
これで良し。あとは包帯を巻くだけですからね。
普段は衣に隠れているが、こうして実際に触れるとどれだけ鍛えられているかがよく分かる。

芸術的とも言えるその肉体には彼の努力が垣間見えた。
あなた
お疲れ様です。巻き終わりましたよ。
ぷりっつ
ありがとう。
あなた
疲れてらっしゃるでしょうし、早く寝ましょうか。
気の利く女将さんが褥を二つ用意してくれた為、二人は褥を横に並べて眠りについた。
二人だけの空間で緊張して眠れる訳も無く、あなたは暫く褥に入ったまま耽っていた。
寝ようとは思っているのだが、いつ彼に想いを伝えるべきか、そもそもまだ好きでいてくれているのか、色々と考え込んでしまって寝るに寝れない状態になってしまった。
そうして何度も寝返りを打っていた時。
ぷりっつ
…まだ起きてるのか?
あなた
あ…ちょっと眠れなくて…ぷりっつこそ起きてたんですね。
ぷりっつ
考え事をしていると眠れなくなった。
あなた
ふふ、私もです。何を考えてたんですか?
ぷりっつ
お前が俺に言った好きな人は、どういった意味か考えていた。
あなた
……どういう意味だと思いますか?
ぷりっつ
分からないから聞いている。



言ってしまって良いのだろうか。




あなたはこちらに背を向けるぷりっつにそっと近付く。


ぷりっつ
なっ…


そのまま、彼の背中にぎゅっと抱き着いた。


あなた
こういう意味です。分かりましたか。
ぷりっつ
わ……分かった…
あなたはその体温に安心し、ぐっすりと眠りについた。
続く

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