数学オリンピック。
私の掌に収まったそれは、私の中の足りないピースを綺麗に埋めるように、すっぽり納まった。
晴夏ちゃんの事を割り切ろうとして必死になっていた今迄が、私を呑み込んでいた不安定な夏が、全て透明になった気がした。
人って心持ち次第で180度変わるものだな、と頭の隅の私が呟く。
数学が、好きだ。
証明も、計算問題も、方程式も、関数も。
だから、私は進まないといけない。
柵とか、心の奥につっかえるものは今もずっとある。
晴夏ちゃんの件、まだ私の中では解決してない。
そして、これからも、多分悩み続けるんだと思うし、その度に同じことを考えて自分が嫌になるんだと、思う。
でも、だからこそ。
────走り出す準備は、もう出来た。
────進め、私。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。