第92話

【sb】自信
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2023/11/08 15:58


「あなたです、にほんから来ました」




ヌナは既に僕が入る時に練習生として活動していた。自己紹介の時にぎこちない発音で挨拶をしたヌナを今でも覚えている。日本人なんだ、わざわざ日本からすごいな〜なんて遠くから見ていた。


練習生になる前からアイドルが大好きで沢山見てきたけれど歌もダンスも初心者な僕は周りについて行けていなかった。




「もし、よかったら一緒にれんしゅうしない?」




まだカタコトな韓国語で話しかけてくれたヌナ。浮かない顔をしていた僕をきっと心配してくれたんだと思った。




🐰「ここの振りよく分からなくて」


「もっと腕を伸ばすといいかも!」




「これはどういう意味?」


🐰「これはちょっと発音が難しいんだけど…」




僕はヌナにダンスを教わって、僕はヌナに韓国語を教えた。季節が分からないくらい毎日2人で夜遅くまで練習室やら作業室にこもっていた。



🐰「……ヌナ?」


「…………っ」




いつものようにヌナに教えてもらおうとして練習室に向かった。ヌナはいつも韓国語の授業をやってから来るはずだけど、既に先に居て、床に座って俯いていた。びっくりさせようと近づくと泣き声が聞こえて慌てて駆け寄る。




🐰「ヌナ?どうしたの?どこか痛いんですか?」

「……大丈夫、ごめんごめん!」

🐰「無理しないで、ゆっくりでいいですから」




どうかしたのか聞いても大丈夫と言って無理して笑った。ヌナはいつも強い。一人でこなして、一人で努力する。そんなヌナが強いと思っていたけれど今のヌナの弱さには寄り添ってあげないといけないと思った。




「……自信、無いの。デビュー組に選ばれても…みんなみたいに上手く出来ない…」

🐰「…………僕だって、自信がないです。でもヌナにいつも自信を貰ってるんです。」

「……私が?」

🐰「しんどいって思う時、ヌナが励ましてくれるじゃないですか。いつも絶対」





ヌナのお陰、と涙を拭いてあげるといつものように笑った。

それ以上の言葉はお互い言わないで、これからも一緒に居ようって約束した。








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