第17話

❥休息の一夜
44
2025/08/30 02:55 更新





宿に着いたのは、すでに夜の深い時間だった。





木造とレンガ造りが調和した宿は、外観こそ洋風だが中は驚くほど清潔で、温かな灯りに包まれていた。



部屋は赤を基調にした、やはり現実離れでファンタジーを空想で思い浮かべたようなものだ。





部屋に荷物を置くと、結界を張り、外から余計な干渉を受けないようにする。



天夏レイ
天夏レイ
 これで、安心して通話できますね




小さく頷き、スマートフォンを取り出した。




機器の上、空気宙に光が揺らめき、そこに月乃の姿が映し出される。




天海月乃
天海月乃
 『よくここまでたどり着いたわね。状況はどう?』

天夏レイ
天夏レイ
 順調です。街の警戒は厳しいですが……市民は意外と穏やかなようです




レイが報告を済ませると、月乃は「そう」と言葉をこぼし、私に視線を向けた。



天海月乃
天海月乃
『あんたの様子を見てると、元気なようね』
あなた
当たり前じゃん。そっちはどう?
天海月乃
天海月乃
『まあまあってところ。桐ヶ谷が心配してるわよ』




すぐに「馬鹿!言うなよ!」という桐ヶ谷の声が聞こえてくる。



その後、月乃と桐ヶ谷が言い争う声が流れてたため、レイと顔を見合わせて苦笑した。



あなた
元気そうで良かったよ。じゃ、お互い頑張ろうね
天海月乃
天海月乃
うん…、くれぐれも油断しないようにね



月乃がそう言い残し、通話は切れた。




通信を終えた後は、どっと疲れが押し寄せてきた。



ベッドに倒れ込むと、心地よい羽毛布団の温もりが体を包む。



あなた
 ……明日も、気を張らないと



そう思いながら、まぶたが自然と閉じていった。




プリ小説オーディオドラマ