宿に着いたのは、すでに夜の深い時間だった。
木造とレンガ造りが調和した宿は、外観こそ洋風だが中は驚くほど清潔で、温かな灯りに包まれていた。
部屋は赤を基調にした、やはり現実離れでファンタジーを空想で思い浮かべたようなものだ。
部屋に荷物を置くと、結界を張り、外から余計な干渉を受けないようにする。
小さく頷き、スマートフォンを取り出した。
機器の上、空気宙に光が揺らめき、そこに月乃の姿が映し出される。
レイが報告を済ませると、月乃は「そう」と言葉をこぼし、私に視線を向けた。
すぐに「馬鹿!言うなよ!」という桐ヶ谷の声が聞こえてくる。
その後、月乃と桐ヶ谷が言い争う声が流れてたため、レイと顔を見合わせて苦笑した。
月乃がそう言い残し、通話は切れた。
通信を終えた後は、どっと疲れが押し寄せてきた。
ベッドに倒れ込むと、心地よい羽毛布団の温もりが体を包む。
そう思いながら、まぶたが自然と閉じていった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。