第3話

Three
35
2023/01/02 08:00 更新






















私の頬を涼しい風が横切る













飛ぶには最高の天気だ



















これで飛べなかったら最悪だが。


























佐久間 萌奈
お母さん、行ってきます
 







いつもより落ち着いた私の声








「成功の私」しか見てなかった母は














こんな変化に気が付く訳がない






萌奈はもう行くのか







家の大黒柱



父親










この家の中で地位が一番高い



暴力でなんとでもなると思っている


汚い大人





そんな父が話しかけるのは
ごく稀である












特に、私がなにも犯していないときは。








佐久間 萌奈
はい、行ってきますね
佐久間 萌奈
お父様








無理矢理呼ばされている
「お父様」





母にも呼ばされそうになったが
母の方が、地位が高いと思わされたくない














よろしい、ちゃんと勉強してこい









だる。














父の言葉を聞いて最初に思った言葉だ















だって、今日はサボるし



















通学に使っている電車も
今日は違う











「次は北山駅です」
車内アナウンスだ












ここが終点






まだ電車に揺られていたかった








というのが本音だが
ずっと居座る訳にもいかないから
ゆったり電車を降りる












佐久間 萌奈
さて、次はどこに行こうか






行く宛てがない






そしてここは物凄く田舎





飲食店はともかく、
コンビニエンスストアさえ見つからない










佐久間 萌奈
帰ろ







さっさと帰らないと、理想の時間に追いつかない

















貸切空間の電車





暖房が効いていて
暖かい











耀
あれ、佐久間じゃん






私が着ている制服と同じもの












同じクラスなのは知っているが、
何故、勉強大好きな宗宮耀が居るのだろう












佐久間 萌奈
こんにちは、宗宮さん
佐久間 萌奈
今日は普通授業でしたよね?
佐久間 萌奈
何故こんなところに?










ただただ純粋な疑問をぶつけた





耀
それはこっちの台詞〜
耀
佐久間もなんでここにいんの?




佐久間 萌奈
サボったから、、、です、、、





ブーメランだったらしい





耀
そっか、そっかぁ
耀
私もー!





軽やかに、鈴のように
言う彼女は凄く嬉しそうだった






耀
あと、「耀」でいいよ
耀、、、は何か違う気がしたから
一番しっくりきた「耀ちゃん」にすることにした







佐久間 萌奈
耀ちゃん、私も萌奈でいいよ






耀
りょーかいっ







世間一般の優等生とは思えない明るさ








それでいて、頭も良い









天は耀に何物与えているのだろう








耀
萌奈、どこ行くの?
















「学校」なんて素直に言えない






サボってなんで学校に行くの?






という疑問を向けられそうだったから








佐久間 萌奈
家に、帰ります










いつも通りの作り笑顔







「いつも通り」ならバレない










耀
嘘だぁ!!
佐久間 萌奈
嘘じゃないです







嘘だけど





















耀
違うよ
耀
きっと違うところに行くんでしょ?












勘なのか、
顔に出ているのか
どっちにしろバレてはいけない














耀
まーいいや
佐久間 萌奈
(いいんだ)












耀
それよりさ、
耀
話変えていい?







佐久間 萌奈
どーぞ



















このとき、耀は何故か躊躇った
 














佐久間 萌奈
耀ちゃん?



















耀
あのさ






唐突な話し始め












耀
しんで、みたい、?













このとき、













ドクン
そんな音が胸から聞こえた







佐久間 萌奈
そんな訳ないじゃん







そんな訳があったら、





耀にとって可笑しい人になってしまう







私は、誰の普通でもある人間にならなければ












耀
そっかぁ
耀
私はしんでみたいとも思うな







佐久間 萌奈
ふーん、なんで?







小さな疑問








その疑問の答えは、私がしにたい理由と似ていた



























耀
それはね、
耀
生きるのも良いかもしれないけど
耀
しんだら、誰が私を覚えてくれるのか悲しんでくれるのか
耀
知りたいから
耀
さっき、「しんでみたいとも」って言ったでしょ
耀
それは、私はもう生きたから
耀
この地球上に存在することが出来たから。
耀
だから次はそれ以外をしてみたい










私は黙り込んでいた













だって、、、







私もこんなに汚い大人にもなりたくなかったから




地球上以外にはこんな汚いものは存在するのか知りたかったから





しんで、
生きるっていう行為に意味があったのか知りたかったから










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