白石学校の屋上に靡く風。
それを嫌う者も、
好む者も存在する
私が呼ぶ声に気だるげこたえる瑠愛
授業の合間休憩
そのときは、
先生に勉強を聞きに行く者
友達と話す者
授業の予習・復習をする者
トイレで溜まっている者
授業の合間の10分
何をするかはその者の個性による
私はあくまでも普通を装えるように
「瑠愛」という友達と呼べる関係の彼女と話す
そうでないと、陰キャ・優等生のどちらかに思われてしまうから。
普通を装わないと、孤立してしまう
クラスの孤立ほど恐ろしい学校なんてない
元気な性格にしてるのも
友達に話しかけやすい人になるように。
話しかけても楽しい人になるように。
それがいちばん合理的だから。
答えやすい質問
そんなものはいつも頭に入れている
次の授業
昼ご飯
流行りのフラペチーノ
近くのカフェ
中間テストの内容
先生のメリット・デメリット
ネタなんて探せばすぐある。
今時、誰でも持っている小さな端末も役に立つし
キーンコーンカーンコーン
地理担任が教室に入ってくる合図
それは
「静かにしてますか」
「席に着いてますか」
「チャイムは聞こえましたか」
など。
時間は有限。
早く授業して欲しい
別に聞く気もないが。
島田 瑠愛
瑠愛と呼んでいた彼女の本名
きっと有り触れた名前だろう
彼女は
勉強苦手
運動得意
というキャラとして成り立っている
大人の子供より地位が高い感じが無理だ
「子供は宝」
なんて言う癖に。
こんな大人になりたくない。
汚らわしい大人なんかに。
授業が終わり、机を片付けるよりも先に駆けつけてきた
聞く前から分かりきっていた答え
手を振るその手は、あと何回見れるだろうか
数える程だけだろうな
机を片付け終わった瑠愛が
ご機嫌な様子で戻ってきた
色とりどりの食材が入ってる弁当を持って。
3年生のみだけが居座っている食堂
私達が入学する前のいつからか、
食堂は「先輩に譲るべし」的なルールが出来てしまったよう
私に来年なんてあるか不明だが。
分かってしまう
瑠愛の作り笑顔
孤立しないために瑠愛と居すぎてるせいか分かってしまう
裏庭から見える風景はまさに
The・田舎
って感じがすると好評(?)
ここの裏庭は授業が早く終わった2年生が使う場となっている
そう考えると、
1年生の地位はとんでもなく低い
だから高校の1年目は教室が溜まり場となる
2年生はその辛さを同情できるからこそ、
譲ってあげる2年生も多々いる
3年生はそんなこと思わないのか、
疑問に思う
瑠愛が言うアイツら。
それは、学年の中でも一軍と言える女子達
10分休憩にもトイレに集団で溜まっているのを私はよく見かける
教室に占領している
一軍は、男子も手が付けないと言うらしい
カッターシャツも校則の所までボタンを留めない
学校指定のコートも着ていない人がちらほらと。
二軍以下の女子達は
陰でそれを恨む
残念ながら、私はそんなことはしない。
アイツらに割く時間なんて無いから。
私はわざと笑った顔で瑠愛に話す
ぐちゃぐちゃになんかならないほど、
瑠愛の弁当は敷き詰められているが
同時に重なる2人の声
どこにでも居そうな女子高生の挨拶
それがいい
それでいい
平凡以上、素敵な生徒はいないから
瑠愛がこれ以上の地位を望むのなら
瑠愛とはおさらば。
その後は、次絡む人を選ばなければいけない
という手間が増えるから
辞めて欲しい
本人が望むなら強制するつもりなどないけど
そう、
瑠愛は優しいお姉ちゃんである
人思いの、優しいお姉ちゃん
私に兄弟、姉妹なんていない
亡くなってしまったから
私が物心つき始めの頃に
この世から去ってしまった
その兄弟、姉妹を追うように
私は空を飛んでやると決めた
両親も、
子供が2人も亡くなると、
確信と、絶望が襲ってくるだろう
両親が私を、私の兄弟姉妹を
愛していたらの話だけれど
愛されていても、
友達に恵まれたとしても、
将来有望な優等生だったとしても、
私は全てを脱ぎ捨て、
空を飛んで、
舞ってやろうと思う












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。