第6話

亡霊の受験者、くに編
218
2023/07/30 09:06
こったろさんがすたぽらに加入し、四ヶ月が経つ。

僕もこったろさんも色々と打ち解けてきたというタイミングで、二人目の受験者の面接日が訪れた。
こったろ
こえくん、テレビで応援してるよ!
Coe.
うんっ!ちゃんと見ててね!!
ないこ
ほら、もう時間やろ
Coe.
あ、すみません…行ってきます!
こったろ
がんばれー!!
……こったろくん、初めて会った時よりも確実に表情が明るくなっている。

僕はそんな顔を見て、いつも嬉しい気持ちが出てくるんだ。

____________________________
今回からは、生配信のカメラとして社長が造った特製のドローンが数個用意された。

僕や受験者を追ってくれる高性能だという。
前回、先輩たちがあまりにも心配しすぎて手を加えてしまった反省としてこういう手段に切り替えたらしい。
______________今回の目的地は「お墓」
受験者がここ以外で闘うのがどうしても怖いと主張してきた。

種族に寄らず、怖がりな者なのだろうか。

僕は目的地に進みながら受験者について頭の中で考えていたら、ある一人の狐のお面を被った男に道を塞がれた。
Coe.
んっ…!?
????
ここから先は行かせまい…主人からそう命令が下された。
Coe.
え、、いや……誰だお前は!!
????
さぁ….ただ、僕は主人の身を守る執事のようなもの。
????
子供相手に時間をかけるわけにもいけないんだ……今君が身を引くのなら、僕は何もしない。
……人間がなにロボットのような事言ってるんだろう。

興味深い。少し、遊ぼうかな
Coe.
…さっきから主人のため主人のためって……
Coe.
自分の事は何も知らない癖に、なに他人を知った気になってんの?
????
………っ!
Coe.
君に他人を見る余裕は…果たしてあるの?
????
うるさい、大人を揶揄うな
Coe.
じゃあ、そこどけてくんない?
Coe.
子供相手に構う暇はない……って僕は君と遊ぶためにきたわけじゃないんだ。
????
…いいえ、
????
君がここを通過したいというのなら、徹底的に切り裂きます。例え子供相手であっても!
Coe.
……わかった
_______________戦闘シーンはまた後々動画載せるので省きまーす




彼は本当に剣使いだったのか?
剣使いにしてはガードが甘かったなあ。

強キャラ感出しとして、結局はこんな程度か。
Coe.
んじゃ
????
くっそ………なんで
______________道中の出来事からまもなくして、目的の場所についた。

そこはついて、真っ先に目に留まったのは美しい桜。もう6月なのに、こんなに咲き誇っているなんて。。

そんな桜に目を奪われていたら、静かに受験者は現れた。
??
いらっしゃい
Coe.
はっ!こんにちはー
Coe.
あなたがくにさん…?
くに
あぁ、そうだよ
くに
俺の我儘でこんな場所にしてしまって申し訳ないです。
写真で見た時よりも…薄い?

肌も真っ白で、服も袴のような。。布を巻かれているだけの服装をしている。

彼は…亡霊という種族だと聞いた。

亡霊は、元々は人間で、亡くなってしまった方が成仏出来ずに身体ごと温もりも重みも感じられるほど形が残ってしまった種族。亡霊になった人の死因は「突然死した若人」が多いとされている。
Coe.
……くにさんはこの場所が気に入ってるんですか?
くに
…俺も死ぬまでこの場所の存在すら知らなかったです。
くに
死んで、お骨を埋めてもらって始めてここの存在を知りました。
Coe.
ということは…この広い墓場のどこかがくにさんのお墓なんですね。
くに
はい。
Coe.
なるほど……
くにさんは、ずっと表情を変えず大きな桜の木の前にキョトンと浮いている。

まるで死後の世界を知っているかのような、そんな不気味な雰囲気が漂う。

その不気味さをより引き立てているのは、本人の謙虚さ。こんなに恐怖なオーラを纏っているにも関わらず、当のくにさんはどこか自分を小さくしている。このオーラとのギャップが恐ろしい。
Coe.
くにさんは…何歳なんですか?
くに
満年25歳、享年37年。………精神的には62歳。だけど25で死んだから身体的には25のまま。
Coe.
こんなに若くて優しいのに…くにさんの死因が気になっちゃいます。
くに
……それは、話すと長くなるので…
口調も、手振りも穏やかでくにさんの育ちの良さが見て分かる。

そしてこの人は超強いであろう。雰囲気だけで察知してしまうということは相当であろう。
Coe.
分かりました…では一度、力試しとしましょうか。
くに
えぇ、望むところです。
Coe.
硬くならず、君本来の力を僕に見せて下さいね。
くに
お気遣い感謝します、それでは
くに
参ります。
______________


イメージ的はこういう感じです。
赤い服を着ている茶髪の子がこえくん、ピンク髪の青い服を着ている子がくにくん、緑の服を着た銀髪の子が道中に出てきた狐仮面男

として見てくれたら嬉しいです。

___________
Coe.
…………
戦いが終わった後、気づけば僕は余韻に浸っていた。いや、浸かりたかった。

だって……戦いがおわった直後、




綺麗だった桜、生い茂っていた草や花たち、蛍までもが一瞬にして消え去ってしまった。残ったものは、茶色い桜の木々と、延々と続くドス黒い土のみ。

僕が見ていたのは幻覚だったのか?くにさんとの戦闘は一体全体どんな効果が及んだのか。身体が震えて仕方がない。
くに
ありがとうございました。
Coe.
あ、いえ!えへへ……
さっきの事など無かったかのように、くにさんは現れた。

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