夕方の見回りでのこと。
私は1歩前を歩きながら振り返る。
くすっと笑われる。
すると、桜くんが小さく咳払いをする。
その時。
路地裏の方から、押し殺したような声が聞こえた。
全員の空気がばっと変わる。
桜くんの目が鋭くなり、
蘇枋くんが位置を取る。
私はもう、前に出ていた。
一瞬だけ、目が合った。
けれど、止められない。
止めない目をしている。
すると蘇枋くんは静かに言う。
それだけ。
私は先陣切って路地裏へ向かった。
そこには、女性を囲む男たち。
次の瞬間。
音が鳴るより早く、1人、2人、地面に叩き落とした。
最後の1人が逃げるように軽く腕を取る。
その場に男たちはもういなくなった。
怯えている女性を、安全な場所まで送る。
見送ってから、3人のところへ戻る。
私は少しだけ息を整え、
蘇枋くんを見る。
すると、蘇枋くんがゆっくり近づいてくる。
言い合う2人を見て、困惑している楡井くん。
まだ皆には知られたくないんだ。
私たちの過去を。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!