ー2ヶ月後 12月ー
はや、あっという間に2ヶ月経ったんやな。
早すぎるて。
しげが半年間眠ってたなんてウソみたいに感じる。
あ、そや、WESTのセンター、5歳児も元気に復活してん。右半身に麻痺が残ってもうてるんやけど歩けるし、ちょっとしたダンスなら踊れるくらいリハビリ頑張ったらしい。右手の麻痺が強くてあまり動かないんやけど。元々利き手が右やから、左手使えるようにとめっちゃ苦労しとるみたい。
俺は今、しげの部屋行って着替える手伝いをしてるとこ。右手で何か掴むのは全く出来ひんくなってて。ある程度のとこで止まってもうて動かへん。
そう言うて頑張って俺の手掴もうとする。
あ、出来ひんからって全部俺らがやるんやなくて、
握るとか手伸ばす程度の努力はしてもらうで。
まぁでも、握れてもほとんど力は無いんやけどね。やから俺が握手した感じで引っ張って服の袖脱がせたり通したりする。
うん、5歳児なので大喜びやねんな(笑)
そう、右手は手の感覚あんまり無いんやって聞いてん。やから骨折してても気付かへんと思いますって言われて驚いたもん、俺。
袋の部分に右手通してもらって(というかほぼ俺がやっとるけど)、首の後ろで結ぶ。
(*'へ'*) ンー、という顔で迷った末……
しげの傍を離れ、トイレに行った。
今日はしげとあなたの下の名前が退院やから迎えに来てん。朝早かったもんやから、支度だけして急いで出て来てん。
朝何も食べへんで来たからね。
なんか野菜ジュースでも飲めばよかった。
トイレ済ませて戻ると、服とタオルで膨らんできたカバンに片手で詰めるのに苦労しとる。
カバンの口広げると、しげが自分の荷物を詰めていく。
そしたら俺の耳元に顔近づけてきて……
耳元で叫んでくる。やめて、俺の耳が壊れるて。
俺が耳聞こえへんくなったらどないするん
荷物準備しながら、しげと話した。
歩けへんくなってるうえに、今日持ってくる予定やった車椅子を家に忘れてきた。
俺のアホや。
そう言うたら納得してて、はよ会いたい!とばかりに急かされた。
しげの荷物を少し持って、部屋を後にする。
歩いてエレベーターに向かいながらも、しげと話す。
片手が使えへんもんやから時々ふらつくのを見守る必要はあるんよ。
照史がいる部屋に着くと、ゆっくり扉を開けた。
彼は起きてて、俺の方見て「おっ、」という表情が見えた。
ベッドの足元側に俺が座り、しげは照史に言われて椅子に座った。
軽く会話を済ませると、俺の方見てきて
「話していい?」って目線を送ってくる。
やってお見舞い行ったもん、知っとるよ。
でも、鼻の管はどないするん?家でもするんか?
確かにどこまで出来るんか知らんかったから、照史に聞いてよかったわ。
家の中での移動はどうしようか……。
あなたの下の名前と相談するか。
ふと思い出して、しげの方見たら……
椅子に座ったまま爆睡してた(笑)
首めっちゃ上向いてるけど大丈夫なん。
口もパカーって開いてるし。
起こそうか考えてたら、自分で起きた。
起きて椅子から立とうとするとフラついて、
椅子にぶつかるしその反動で俺のとこにダイブ。
ケガするよりはええけど……
抱きついたまま叫ぶ5歳児。どないなってんねん(笑)
少し喋って、あなたの下の名前のとこに向かった。
小児用病棟
部屋に入ったら、あなたの下の名前はベッドの上で座っていた。
棚から服やタオルとかを出して並べていく。
しげも一緒に手伝ってくれて、服やら荷物を詰めていく。
棚から荷物全て出し終わって、
病院の車椅子取りに、部屋を離れた。
看護師さんに言うたらすぐ貸してくれて、部屋に戻った。
ベッドに座るあなたの下の名前に近づき、
腰辺りを持って立たせて、車椅子に座らせた。
あなたの下の名前に荷物を持たせて、
車まで3人で行った。大変やったよ〜なかなか(笑)
ショック受けてるやん(笑)
なんとか家まで帰りました笑
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。