乾さんがお昼に行ってからどのくらいが経っただろうか。
傷口の痛みが引いてくる。
伸びをしたり、スマホをいじったりしていると、あっという間に30分が経つ。
寝るにも起きれなくなるしな…と考え、寝ることはしなかった。
そろそろココアが飲みたい。
そう思い立ち上がろうとする。
すると、シャカシャカと音がしながら誰か歩いてくる。
どうぞ、と手を差し出す。
来るとは思わず、つい目を丸くした。
彼が早く手を取れと言わんばかりにこちらを見つめる。
押し切られた私は、その手を取った。
たしかに、彼が来ていなかったのなら私はちゃんと立てれたかと言えば怪しいと思う。
そう思い口がごもる。
なにかを言いたかったわけではなかったが。
立ち上がり、私はココアが飲みたい気分であったので休憩スペースに向かう。
歩きながら乾さんが言う。
なんでわかったんだろうか。
…超能力者?
なんてありえないことを考える。
そう言いながら彼は持っていたビニール袋を渡す。
気づいたら誘ってしまっていた。
なぜ誘ったかもう覚えていない。
一人なのが少し、寂しかったから…とか。
断られるんだろうな、とか思っていたのに。
まさかのOKですこし驚いたが、嬉しくなった。
休憩スペースに着き、いつもの席に着く。乾さんは隣に座った。
他愛もない話をしながらココアを飲んでいく。
こんな時間が続けばいいのに、と思ってしまう。
それから、好きなもの、苦手なものは何か、などを話した。
今週で一番の思い出になるだろう。
そう思いながらこの時間をじっくりと楽しんだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!