一時間が過ぎて。21時を回る。
私たちは駅へと歩いていた。
気分もすっきりになって、上機嫌な私。
そういえば、タバコが切れていたことを思い出す。
駅前のコンビニへと向かう。
明日が休みなもので、家に帰ってもう少し飲みたかったのでお酒コーナーにも寄る。
体に悪いとは思いながら、ストゼロを選ぶ。
タバコも吸ってるし、今更か。とも思いつつ。
お酒を片手にレジに並ぶ。少し、混んでいた。
どのくらいかかるかなー、など思いながら静かに並ぶ。
その時、自動ドアが開く。
___乾…さん。
気づいてすぐに目をそらす。なぜか、見ていられなくて。
彼は気づいていないようで。
そのことにほっとしたのと一緒に、チクンと痛みが胸のあたりで広がった。
そう呼ばれ、駆け足になってレジに着いた。
会計が終わり、コンビニを出る。
坂本はスマホをいじりながら待っていた。
そう言うとまた、歩き出した。
駅に着くと、坂本とは逆方向だったようで、ホームで解散した。
来た電車に乗り、ゆらゆらと揺れながら最寄り駅まで窓の外を眺めた。
____?
私は一人で帰っていたはずだ。
恐る恐る声のした方に振り向く。
予想が当たってうれしかったのか、キメ顔をした。
正直に、かわいかった。
普通に写真に収めたかったくらいには。
…本当に。
本当に最近は、よく会う。
言い終えた時、最寄りの駅に着く。
立ち上がり、電車を降りる。
当たり前のように並んで歩く。
___駅も一緒なのか。
まるでスートーカーをしているようで、とても否定をしたかった。
それでも、自分から言ってはそれこそ怪しいだろうと思ったので、堅く口を閉ざした。
私は、はい と答えた。
彼は、小さく手を振った。
幸いにも?家は反対方向。
私も会釈をしてから手を小さく振った。
まっすぐに家へと帰る。
今日はちゃんと着替えてベランダに出た。
涼しい風が頭を撫でる。
まるで、空が私を労わってくれているようで。
いつの間にか、私は ありがとう とつぶやいていた。
スマホをスピーカーに繋げて洋楽をかけた。
さっき買ったばかりのタバコを取り出し、一本を選ぶ。
火をつけ、汚れた空気を肺に入れる。
吐き出した空気は、夜空に溶けてゆくようだった。
つぶやいた独り言は、だれにも知られず、タバコの煙と共にに消えていった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。