そこまでアザミさんが言うと
メフィストさんは急に
不機嫌そうな顔になった。
背筋が凍るほどの。
ズンッ
ビシッ
アザミさんが使った魔術と同じだろうか。
牙隊のヒトたちの体が、メフィストさんの
命令通りに動いている。
これまでみたことのない冷酷な
醜いものを見るような顔でそう言った。
メフィストさんの言う「偉い相手」は
メフィストさんのことではなかった。
アザミさんが跪いている方向には
入間がいたからだ。
この状況は危険だ。
改めてそう感じた。
これではまるで………
私も、そう思う。
そうなのだ。
バビルスでも、問題児たちは勿論
アメリ会長もバラム先生も
チマちゃんも…キリヲくんも。
入間がメフィストの手を借りて立ち上がり
アザミさんを睨むように見る。
あぁ、腹が立って仕方がない。
入間この顔が嫌いなんだ。
今すぐにでも人間だとバラしてやりたい。
でも、今言うなんて、ぬるい。
もっといい、制裁を下す日が来る。
その日まで、我慢せなあかん。
手を貸そうとした途端
アザミさんは無理やりに魔術を破り
ゆっくりと立ち上がった。
メフィストさんに劣らないほどの
でもどこか違う、威圧的な声が響く。
アザミさんの声には
「信念を守り抜く」という
強い意志が込められていた。
ズドォォンッッ
キマリスさんは1枚の紙を取り出す。
退却通知という文字と……
バサッ
アザミさんはそれだけを吐き捨てて
多耳族の村をあとにした。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。