◯◯駅の噴水の近くで、西島さんの姿を探す。
と思ってキョロキョロと辺りを見回していると、背後から誰かに手で目を隠された。
その手首を握ると
と、耳元から悪戯っぽい声が聞こえてくる。
西島さんは手を離すと、「へへっ」と目をくしゃっとさせて笑う。
その笑顔を、不覚にも可愛いと思ってしまった。
私が思わず目を見開くと、西島さんは「どうかしたの?」と言う。
すると
“わざと”上目遣いで聞いてくる西島さんをまたもや可愛いと思ってしまう。
そう言いながら私の手を握って歩いて行く西島さん。
そんなくだらない言い合いをしながら、私たちは車のある場所へ着いた。
私はさっと助手席に乗る。
いつのまにか隣に乗っていた西島さんは、ハンドルを握り、車を走らせた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。