第2話

最後の春。
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2022/09/08 15:37 更新

「 ごめん 」を言う回数よりも
「 ありがとう 」を言う回数が増えてきた頃、


俺たちは高校生になった。
笑原 ジェル
莉犬ー!さとみー!
はよ行こうやー!
朱咲莉犬
ジェルくん、今日は凄い元気〜
笑原 ジェル
いやー!だって、まさか高校も
同じやとは思わなんかったから!
幸野さとみ
一緒の高校に行けて良かったな。
朱咲莉犬
ね。
笑原 ジェル
一緒のクラスやったら最高やな!!

数分後__
笑原 ジェル
……なんでや、なんでやーーーー!!
朱咲莉犬
あはは…
幸野さとみ
まぁまぁしゃねーな、
笑原 ジェル
なんでや、
…なんで俺だけクラス違うん?
幸野さとみ
ジェルなら、1秒もあったら
友達2,3人くらい作れるだろ。
あ、もう集まる時間じゃん。莉犬行こ
朱咲莉犬
あ、ほんとだ。じゃあね、ジェルくん。
友達出来たらちゃんと言ってねww
笑原 ジェル
待ってやーーー(泣)
朱咲莉犬
あははwww
幸野さとみ
ふwww

自然と笑える様にもなった。
体も心も何だか軽くなった。

だから、2人にはとても感謝してる。何があっても
笑顔で俺の背中をずっと支え、押してくれたから。


病気はまだ治ってないけど、体調が良くなったから退院し、この春…俺にとっては最後の春は小さい頃から俺が望んでいた「普通の高校生」で奇跡的に過ごす事が出来た。

俺とさとみ君は新しいクラスの教室の前に着いた。さとみくんがクラスのドアを開こうとした時、俺はさとみくんの制服をつまんだ。さとみくんは少し驚いた顔してから俺の頭に手を置き微笑んだ。
幸野さとみ
りいぬ、楽しめよ。
朱咲莉犬
…俺は本当にここに来て良かったの?

余命宣言されたのが去年の夏の終わり。
っていう事は俺のタイムリミットは今年の夏の終わり。もしそうなったら、俺は新しく出来た友達と…さとみくんとジェルくんと一緒に進級出来ない。
朱咲莉犬
俺、皆の邪魔にならない?
幸野さとみ
何言ってんだ。邪魔にならねぇーよ。
だから……
幸野さとみ
毎日、病気の事忘れて楽しめ。
俺たちがいつも見守っているし、
隣にいるからさ。

さとみくんは「ほらほら、笑顔笑顔」って言って変顔をした。さとみくんの変顔は変で面白くて笑ってしまった。俺はさとみくんの腕を引っ張り、耳元で「ありがとう」って言った。そして俺はさとみくんと一緒に教室のドアを開いた。
 


キーンコーンカーコン


高校生最初の授業は、自己紹介になった。俺は緊張しながら俺の番を待った。何回も何回も心の中で練習した。俺の1個前のさとみくんは立ち上がり自己紹介した。
幸野さとみ
幸野さとみです、
部活はまだ決めてません。
趣味はゲームと幼なじみと遊ぶ事です。
高校生になり、新しい友達が出来るのか
不安ですがよろしくお願いします。

さとみくんは一礼してから俺は立ち上がった。
朱咲莉犬
朱咲莉犬です、…あ、えーと
部活は入らない予定です。
趣味は……歌を歌うことです。
出来れば俺と仲良くしてください!!

俺はそう言って勢いよくお辞儀した。すると隣の子が笑いだしクラスに次々と笑顔の花が咲いた。どうして笑っているのか分からない俺はさとみくんを見た。すると変な事にさとみくんも笑っていた。
担任
よろしくな、朱咲、
先も言った通り俺は海響だ。
何かあったら頼れよ。
朱咲莉犬
え、はい…よろしくお願いします。
担任
朱咲だけじゃなく、皆も俺を
頼れよ。じゃ、次の人どうぞ。


こうして無事に自己紹介を終えた。




今日の授業が終わると、俺とさとみくんの席の周りに人が沢山集まった。
クラスメイト
ねーねー、莉犬って呼んでもいいかな?
朱咲莉犬
え、うん!呼んで!
クラスメイト
なぁなぁー、さとみが
言っている幼なじみって朱咲さんだろ?
幸野さとみ
せいかーい、でももう1人幼なじみいる。クラス違うけどめっちゃくちゃ面白いよ。

俺とさとみくんも沢山友達が出来た頃にジェルくんがやってきた。
笑原 ジェル
やほー、はよ帰ろー!
幸野さとみ
 今行くー、ほら莉犬行くぞ。
じゃあまた明日な。
クラスメイト
また明日なー!
朱咲莉犬
え、ちょっと待って!
クラスメイト
りいぬくん!また明日ね!
朱咲莉犬
 うんッ!!またねッ!ニコッ



今日、「 また明日 」という言葉が好きになった。
だって、俺が「 また明日も 」生きられると思うから。病院にいる時は明日が怖かったけどこれから先は明日が楽しみになりそう。


朱咲莉犬
ふーんふーん♪♪
笑原 ジェル
莉犬、友達出来たん?
朱咲莉犬
うん!出来た!
笑原 ジェル
良かったなー!俺も友達出来たで!
朱咲莉犬
へぇー!じゃあまた今度紹介してね!
笑原 ジェル
分かった、聞いてみるな!
幸野さとみ
 …あ、やべ。
朱咲莉犬
ん?どうしたの?
幸野さとみ
教室にスマホを忘れてきた。
先に校門に行って待ってて。
笑原 ジェル
はーい、りいぬ行こー!







幸野さとみ
あったあった、…

俺は後ろの席を見た。今日の莉犬を見て少し安心した。本当は少し不安だった。また莉犬を傷つけてしまうんじゃないか、って。けどそんなことはなかった。莉犬がクラスメイトに「また明日」って言った後の笑顔を見ると心配して損したって思った。

これから莉犬は色々な事を経験していく。楽しい事、辛い事、苦しい事。…今まで経験出来なかった事が起きる。 その時は
幸野さとみ
隣で支えていきたいな…

小さい頃、莉犬が俺にしてくれたみたいに。
本当に朱咲さんの事大事に思ってるよね。
俺は声がした方を向くと、海のような髪の子がいた。
その子は窓にもたれかかって俺を微笑みながらそう言った。
幸野さとみ
…変か?
ううん、変じゃないよ。
凄いねって褒めてるの。

蒼海さんは、笑いながら窓に開いた。
窓の先には沢山の桜があった。
蒼海 ころん
ねぇ幸野さとみって言うんだよね。
僕は蒼海ころん。ころんでいーよ。
幸野さとみ
俺もさとみって呼んで。
その時、桜の花弁が教室の中に入ってきた。ころんはそれをキャッチして俺に近づいた。その花弁をつまんで俺に見せた。
蒼海 ころん
うん、やっぱり。
幸野さとみ
ん?なんだ?
蒼海 ころん
さとみくんの髪色、僕が好きな桜に
似ているね。ニコッ







この時はまだ思ってもいなかった。








朱咲莉犬
遅いなー、さとみくん。
笑原 ジェル
なー、
はよ戻ってくると思ってんけどなー
朱咲莉犬
ねーねージェルくん。
新しくできた友達の写真ないの?
笑原 ジェル
ん?あるで。待ってなー。

もうタイムリミットが近い俺に
笑原 ジェル
あったあった。これやで。莉犬。
朱咲莉犬
んー?
笑原 ジェル
この子が新しく出来た友達、
黄瀬るぅとやで。

ずっとずっと一緒にいたいと思える子が出来るなんて。

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