さとみくんとお昼ご飯を食べている時、ある噂を耳にした。
クラスメイトにあれこれ言われたが俺たちはそれを無視して箸を進めた。クラスメイトが諦めどこかに行くと今度は担任が俺の事呼び出した。
先生、絶対何か企んでる…
先生は、そう言って俺から逃げた。終始を見ていたさとみは、俺の肩に手を置き「ドンマイ」と言った。
部活動体験が終わり、俺は1冊のノートを置きに廃校舎にやってきた。
行く前にさとみくんから幽霊の退治方法を教えてもらった。それは「やらしい言葉を言ったら幽霊は逃げる」本当なのかと1度は疑ってみたけどさとみくんの体験談から得たアドバイスなので信じた。ちなみに、その時俺の隣にいたジェルくんはずっと苦笑いをしていた。
ノートの中身をペラペラ開いてみると楽譜があった。所々、その上で赤ペンで書かれた字があった。最初は幼稚園児が書いたような字だったが、ページを捲ると字がとても綺麗になっていった。しかも気になった事に最後の楽譜だけが音符だけが書かれてあった。その字はとても荒々しかった。次に裏表紙を見るとそこに名前があった。
____ポロン
ピアノの音が聞こえた____俺はとっさに物陰に隠れた。
俺はもう無理だと思って戻ろうとすると、どこかで何回も聞いた事があるメロディーが聞こえた。
僕は幼なじみを教室で待っている。部活動体験が終わり帰ろうとすると幼なじみが「少し待ってて」と言われ、僕は仕方なく待つことにした。そして今、ピアノの音が聞こえる。幼なじみはあのメロディーを弾いている。幼なじみにとって、誰かにとって大事なメロディーを。
幼なじみにそう言いたい。だけどあの日の幼なじみを思い出すと思わず言葉を引っ込めてしまう。それに……僕のせいでこうなってしまったのだから。
時計の針が19時半をさした。
僕は立ち上がり、僕と幼なじみの鞄を持ち教室を出た。
俺は、少し空いていた音楽室のドアから覗いた。案の定昨日ジェルくんに見せてもらった写真の子が弾いていた。
俺は、音楽室に入ろうか迷った。このメロディーを最後まで聞きたかったから。…どうしてだろうか。このメロディーを聞くと胸の奥が痛くなる。ひとりぼっちで辛かった時の事を思い出す。
________ もう 前に進むと決めたから。
けど俺はそこから動けなかった。目が離せなかった。辛いけど思い出したくないけど…このメロディーは、少し温かった。まるで過去の俺の頭を撫でてるようで…まるで俺の足跡を少しずつ照らしてくれる様なヒカリのようだった。
ずっと見て聞いていると手からノートが落ちてしまった。黄瀬さんは、その音に驚いてピアノを弾くのをやめた。その時に俺と黄瀬さんは目が合った。俺は我に返り、立ち上がりその場から逃げた。
無我夢中で走っていると、さとみくんが目の前にいた。
俺はその時自分が泣いている事が分かった。それからは覚えてない。自分がどう帰ったのかも分からないし、自分が何時に寝て起きて学校に着いたのかも分からない。ただひたすらに時間だけが過ぎていった。
______あのメロディーが聞こえてくる。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。