第37話

奴隷『END』
227
2024/05/18 08:21
暇72side
いるまが手当てをしている間

俺はただ見ていることしか出来なかった

俺もいるまと反対の手を握る

冷たいその手が余計に不安にさせたけど

その方が何もしていないよりは良かった

しばらく無言でいるとLANが部屋に入ってきた
らん
あいつ自分は悪くないって言い続けるだけだわとりあえずクビでいいよな?
外からあいつとこさめの声が聞こえる
こさめ
クビになったから
使用人
そんな…私は悪くないんです…!なんであいつなんかを…
悪くないと言い続ける声が耳障りだ

そのあとは強制的に外に出した
















それからもう1週間がたとうとしている

すちは相変わらず起きない

いるまは毎日見に行ってるし

俺たちだって時間がある時はできるだけあそこにいる

ふと、みんなでご飯を食べている時疑問に思った

みことはどうしてあいつがやったってわかったんだろうか

最初からすちが手伝いをするのは反対だったみたいだし

ちょうど全員いたから聞いてみた
暇72
なぁ、みこと
なんであいつがやったってわかったんだ?
らん
確かに…
みこと
えっと…今まで雇った人たちおったやん?でもすぐやめちゃっとって理由を聞いたらもう辛い、とかあの人が…とか言っとったんやけど、証拠がなくてどうしようもなかったんよだからすちくんを近づけたくなかったんやけど…もっとちゃんと止めとけば良かったって思っとる
こさめ
でもこさめたちはそのことに気付けなかったし…
いるま
お互い様だな



















それからまた1週間位たった頃

すちの様子を見に行くと、ベッドに座って空を見ているすちがいた
暇72
すちッ!
すち
…暇72様…おはようございます…ニコッ
痩せて肌の色が白くなった姿は消えてしまいそうで

それでも

ずっと聞きたかった声、

ずっとみたかった笑顔、

それは同じだった

これは現実なのか確かめたくて手を伸ばすとすちの声が聞こえてきた
すち
やめてくださいッ!触らないで…嫌だ…居なくならないで…
そんなことを言われると思っていなかったからびっくりした

でもそう言うすちの顔は歪んでいて何かを恐れている顔をしていた
暇72
ッごめんな!いるま呼んでくるわ…
いるまに話をすると急いですちの部屋に行った
いるま
すち…ッ起きてる…
すちは自分から近寄ろうとしない
いるま
…なんかあったのか?
暇72
あいつはもう居ない…大丈夫だ
すちの目から涙が出てくる

見られたくないのか下を向いている

きっと本当は泣きたかったんだろうな

今まで我慢してきたからなのか涙は乾きそうにない

まだ泣いているけどすちが話し出した
すち
夢で…ッグスッ俺が皆さんに触るとッ…皆さんが崩れていっちゃって…怖かった…ッ触られるのもッ…触るのも夢と同じになったらどうしようって…
初めてみた涙

その泣き方はできる限り抑えようとしている感じがして

だから、安心させたくてすちに抱きついた
暇72
ほらな!触ったって居なくならねぇよ!
すちside
夢の中で見ていたもの

俺が触ると崩れて、腐っていなくなる

俺の手が汚いから…?

景色が変わって花畑が広がる

5色の花が辺り一面色鮮やかに咲いていた

その花ですら俺が触ると黒く枯れてしまう

ただ花の中を歩き続ける

少しすると遠くに誰かがいた

その姿は小さい時にみたままの姿で

涙が出てくる
すち
お母さん…ッ
早く行きたいのにどれだけ走っても近づくことができない

ふと、声が聞こえてきた
お母さん
こっちに来てはいけないわ
お母さんの声

どうして…?

俺の事嫌いになっちゃった?

俺がちゃんとしなかったから…?
お母さん
待ってくれている人がいるでしょう?
そんなことないよ

そんなことを思ってくれる人なんていないんだよ

視界が明るくなる

手を伸ばせば届く距離にお母さんがいる
お母さん
ごめんね…
俺の頭を撫でるその手は火傷した跡のようなものが沢山ついていた

その温かさが懐かしくて泣けてくる

俺の方こそごめんなさい

助けれなくてごめんなさい

俺が…死ねばよかったのに…
お母さん
そんなこと言っちゃダメよ?
後ろに緑の花があるからそれを取りなさい
そしたら戻れるわ
嫌だ…お母さんと一緒がいいよ…
お母さん
ごめんなさい…こんなお母さんで…でもあなたの幸せを願っているわよ
ずっと待っているからね
お母さんの手が離れていく

お母さんの目はもう俺に向いていないけど

その優しい顔に背中を押されるように緑色の花に近づく

珍しい気がするその花は綺麗で俺が触っていいのか分からない

それでも触れるけどやっぱり枯れてしまって

違ったのはその花はだんだん白くなってきて全て白くなるとキラキラした光が溢れてきた

目を覚ますとベッドの上にいて

窓から入ってくる風が気持ちよくて外を見ていた
暇なつ様が抱きついてきた時の温かさが
すち
お母さん…
お母さんに似ていた
そのあと全員が揃って俺の怪我とかを見てくれた

なんで言わなかったのかってすごく怒られたけど

今までで1番幸せだなって思ってるよ

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