第36話

奴隷『6』
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2024/05/12 10:00
いるまside
今、俺たち5人で話をしている

内容はもちろんすちのこと
みこと
最近すちくん…笑わないんよ
こさめ
手伝いしてる時ちょっと様子おかしそうだったかも…なんか言いたそうにしとったし…
暇72
この前はびしょ濡れだったぜ?
洗濯物なんて干してなかったのにな
らん
そういえば…手伝いさせてからおかしくなったかも
いるま
…すちが怪我した
みこと
え…?
いるま
料理で切ったって言ってたけど、手首だから切るはずないんだよ
こさめ
…もしかしてリスカ…?
あともうひとつ、すちは隠してたつもりだろうけど見えたからな
















自分の首にナイフを当てていたこと
いるま
自分の首にナイフを当ててた
暇72
は!?
らん
今すぐすちの部屋行くぞ!
急いですちの部屋へ行く

扉を叩くが反応がない
暇72
まぁいいか…開けるぞ!
全員心配だったから止めるヤツはいなかった

扉を開けても人の気配がない
こさめ
どこいったんだろ…?
みこと
…あの人なら知ってるかも…
みことが急に走って部屋を出ていくから急いで追いかける

みことが止まった部屋

それは、使用人の部屋だった
みこと
開けて!
扉をドンドンと叩く

少しして出てきたそいつは妙に焦っているようだった
使用人
ど…どうかなさいましたか?
らん
部屋の中を見せて欲しい
使用人
えっ!?それは困ります!
いるま
なんでだ?
何も無いなら見せれるよな?
使用人
それは…
暇72
じゃあみせてもらいま〜す
なつが強引に部屋に入った

それに続いて入っていくと酷い光景が広がっていた

火のついたタバコが灰皿に置いてある

タバコの箱は床に落ちていてまだ使っていないものはばらまかれていて

その奥に倒れているすち

すちの姿はボロボロだった

服はナイフでさかれていて

体にはライターで炙ったような跡やタバコを押し付けたようなものが体に傷を作っていた

初めに来た時と同じくらいボロボロで

言ってくれなかったすちに、

気づけなかった俺自身に、

傷つけたあいつに、

腹が立つ

怒りが湧いてくる
使用人
こいつが…悪いのよ…
いるま
あ゛?
使用人
奴隷のくせに調子に乗っていたから私が教えてあげたのよ!
だから…私は悪くないんです!
いるま
…こいつがお前になんかしたのかよ!
使用人
ッそれは…
いるま
ふざけるな…どれだけすちが辛かったと思ってるんだ…黙れよ!
殴りかかった俺を後ろから誰かが止める
暇72
やめろよ!俺だって殴りてぇけど、今はすちの治療が先だ!
お前しか、すちの怪我を治せねぇ
そうだ…ちゃんとしねぇと

すちの怪我を見ないといけない
いるま
ごめん…落ち着いたわ
らん
俺たちはこいつに話聞いとくから、部屋使って
暇72
俺は一応いるまに着いてくわ
こさめ
うん…すちくんのことお願いね!
いるま
大丈夫だ
すちの体を持ち上げる

体重は軽い

傷からは血が出ている

本当はすちのこと最初は信用してなかった

よく分からないやつを警戒するのは当たり前だとは思うが…

だから、頼んですちのことを調べてもらった

届いた内容はあまりにも酷かった

母親は6歳の頃に火事で死んだ

母親はすちのことを助けるために庇ったそうだ

すちの父親は母親が火事で死んだ次の日にはすちを売ったそうだ

タバコに酒、ギャンブル

すちを売れば金が手に入る

欲で売った、自分の息子

もともと小さい時から虐待されていたそうで

殴る蹴るは当たり前、タバコを押し付ける日もあったそうだ

自傷行為をするくせがあること

泣かなくなったこと

色々書いてあった

全部身勝手な大人のせい

辛かっただろうに、苦しかっただろうに、

それでも頑張って生きてるのにこんなことあっていいのか?

理不尽だろ、神様なんていないんだろ、平等なんてないんだろ、

そんなすちを幸せに、笑顔で過ごせるようにさせてやりたかったのに

怪我だって代わってやりたい

でもそんな魔法みたいな力俺には無い

だから、出来ることをしなくちゃいけない
いるま
絶対…助けるからな…
ベッドに寝かせる

服を脱がせるとなつの声が聞こえた
暇72
うわ…酷いな
いるま
あぁ…跡残るの増えちまったな
薬を塗って、包帯を巻いて、

とりあえず処置はした

あとは起きるのを待つだけだ

それでも何もせずに待っていることはできなくて手を握る
いるま
早く…起きてくれ…すち

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