その日の夜、妙な感覚に目を覚まされる。
それは、
_____二度と感じたくなかった衝動。
本能にまた呑まれてしまわないように、睡眠薬を飲む。
だが、まるで効果はなく、心臓が激しく動いて、また、血肉を求めている。
もう、人を殺したくない。
自分の手を、血で染めたくない。
失望されたくない。
腕に爪を立て、痛みで意識を保とうとする。
だがその抵抗も虚しく、自分が自分じゃないようになっていく。
昨日も感じた味を貪る。
雨に濡れ重くなった衣類を気にもせず、本能のままに。
視界の端に、今1番に会いたくない人物を捉える。
どうか見間違えであってくれと淡い希望を持つ。
だが、その人は信じられないという目で、こっちを見ている。
後ろから声が聞こえた。
"騙していた"
それは、事実だった。
平和に暮らしていた皆の横で、平然と村に居たのだから。
だが、その言葉に、心臓が締められるような感覚になる。
メテヲさんが、めめさんの元へ近づいていく。
俺はまだ呆然としながら、その光景を見つめていることしか出来なかった。
何かが落ちる音がする。
近くを見れば、処刑に使われた銃。
震える手で、それに手を伸ばした。
そして、そのまま
背を向けているみぞれさんに、その銃を撃つ。
もう、後戻りは出来ない。
そのままメテヲさんにも銃を向ける。
引き金が軽くなったように感じた。
鈍い音と共に、メテヲさんは倒れる。
めめさんの元へ、歩く。
そのまま、抱きしめた。
それで、そのままめめさんを離すはずだった。
だが、俺の口は勝手に動いて。
自分勝手な思いを吐露した。
これ以上この場に居たら、言い訳がましく、全部を話してしまうだろう。
めめさんから距離を取る。
俺は、夜の森へと走り続けた。
ざあざあと雨が降り、ぬかるんだ地面を踏んで進み続けた。
足から力が抜け、もう走れないと限界を知る。
気づけば雨は止み、星空が見えている。
今まで見たことのない星空は、どこまでも広がっていそうだった。
自分の醜い気持ちが、言葉となって出る。
嗚呼、この愚かな人狼は。
村を滅ぼしても尚、恋を捨てれずに居た。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。