第6話

六枚目
123
2024/01/03 01:54
谷崎潤一郎
えっと...
谷崎潤一郎
どのようなご用件でしょうか?
目の前には金髪の女性
今日の依頼人らしい
太宰治
美しい…睡蓮の花のごとき果敢なくそして可憐なお嬢さんだ
すると太宰さんが女性の手を取って跪いていた
太宰治
どうか私と心中していただけないだろうk
国木田独歩
お騒がせしました
心中のお誘いをした瞬間、国木田さんによって強烈なアッパーを喰らって
太宰さんは飛んで行った
国木田独歩
気になさらずに。今のは忘れて続けてください
国木田さんはそう言いながらズルズルと情報管理室に太宰さんを連れて行った
樋口一葉
それで依頼のお話なのですが
今のはかなりカオスな展開だったにも関わらず
さらりと流して話を続ける依頼人さん
樋口一葉
実は我が社のビルヂングの裏手に、最近良からぬ輩が屯しているようなのです
樋口一葉
ボロを纏った連中のようです
樋口一葉
中には、聞きなれない異国の言葉を話す者もいるとか…
国木田独歩
そいつは、密輸業者の類だろう
話に聞き入っていると部屋から出てきた国木田さんがそう言った
国木田独歩
軍警がいくら取り締まっても船蟲のように湧いて来る
国木田独歩
港湾都市の宿業だな
樋口一葉
ええ…無法の輩という証拠さえあれば、軍警にかけ合えます
樋口一葉
ですから…
国木田独歩
現場を張って証拠を掴め…か
国木田独歩
小僧、お前がいけ
中島敦
えええーー!?
国木田独歩
ただ見張るだけの簡単な仕事だ
国木田独歩
それに密輸業者は、大抵逃げ足だけが取り柄の無害な連中だ
大抵か...
国木田独歩
お前の初仕事には丁度良い
国木田独歩
谷崎...とあなたも一緒に行ってやれ
私もなのか...
事務仕事だけで今日は終わるつもりだったのだが...仕方ない






国木田独歩
おい小僧とあなた、この街で生き残るコツを一つだけ教えてやる
中島さんと国木田さんに必要な物を聞きながら支度をしていると
突如言われた
国木田独歩
こいつには会うな。会ったら逃げろ
そう言って見せられた写真には黒いコートを着た男が写っていた
中島敦
この人は…
太宰治
マフィアだよ
太宰治
もっとも他に呼び方がないから、そう呼んでるだけだけどね
...名前つけてないんだ
国木田独歩
港を縄張りにする凶悪な犯罪組織、奴らは“ポートマフィア”と呼ばれている
国木田独歩
この街の黒社会で最も危険な連中だ
国木田独歩
中でもその写真の男は、この探偵社のメンバーでも手に負えない危険な奴だ
そうなんだ
一応写真を撮っておこう
役に立つかもしれない
((パシャッ
中島敦
なぜ危険なんですか?
国木田独歩
そいつが異能力者だからだ。しかも殺戮に特化したすこぶる残忍な異能力で、軍警でも手に負えん
中島敦
この男の名は?


国木田独歩
芥川だ


依頼人__樋口さんの案内で例の現場へ向かう
なぜかナオミさんも一緒だ
樋口一葉
着きました。こちらです
谷崎潤一郎
おかしいな…
谷崎潤一郎
本当にここなんですか?えっと…
樋口一葉
樋口です
谷崎潤一郎
樋口さん、密輸業者というのは臆病な連中です。だから必ず逃げ道を用意します。ここ袋小路ですよね?
谷崎潤一郎
捕り方がそっちから来たら逃げ場がない
確かにそうだ
もし本当にここならば、その密輸業者は相当の阿呆だ
樋口一葉
その通りです
樋口一葉
失礼とは存じますが、嵌めさせて頂きました
樋口一葉
私の目的はあなた方です
樋口一葉
芥川先輩
芥川...ってあの指名手配?
樋口一葉
予定通り捕らえました
予定通り...という事は仕組まれていた
なんでだろう...
探偵社を消したいからか?
いや、なら突撃してくれば良かったのに
樋口さんは散乱銃で谷崎さんに向かって銃を撃った
谷崎ナオミ
に...さま...だいじょ...ぅぶ...?
ナオミさんが全て受け止めて、血だらけになってしまった
谷崎潤一郎
ナオミ…ナオミ...?!
地面に倒れたナオミさんを抱き抱える谷崎さんの後頭部に
樋口さんが持つ銃口が向けられる
樋口一葉
あなたが戦闘要員でない事は調査済みです。健気な姫君の後を追っていただきましょうか
谷崎潤一郎
あ?チンピラごときが!よくもナオミを傷つけたね!
谷崎潤一郎
二人とも奥まで下がって...
谷崎潤一郎
異能力【細雪】!!
谷崎潤一郎
こいつは僕が殺す!
一気に雰囲気が変わった谷崎さんは異能力を使った
どんな異能力なのだろうか...
知っていたのだろうけど忘れてしまった
谷崎潤一郎
僕の細雪は、雪の降る空間全てをスクリーンに変える。僕の姿の上に背後の風景を上書きした。もうお前に僕の姿は見えない!
姿は見えないが谷崎さんの声が路地に響く
樋口一葉
姿は見えずとも弾は当たる!
樋口さんはやけくそで回りながら辺りに銃をぶっ放していたが
背後から谷崎さんに首を絞められた
谷崎潤一郎
死んでしまえ...!!
優勢に思えたが
事態は急変した

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