前回のあらすじ
白血病の骨髄移植の準備の為、何時間も続く吐き気に10日間も耐えたあなたのあなた。
そんな辛い日々を乗り越え、いよいよ移植日を迎える…。
出来る限りのことは全部やった。
…後は、上手く行くかどうかを願うだけだ。
ギュッ、
その瞬間、『コンコンッ』と病室のドアが叩かれた。
私は、兄と恋人に見送られ、私は移植が行われる部屋に向かった。
深く深呼吸をして、入院着を脱ぎ、ベットにうつ伏せになる。
その後から、腰の部分だけが開いた青い手術用の布を笠原先生がかけてくれるた。
私は全身に麻酔を施された。
1番早く打った所から比例して、段々と感覚が無くなっていく…。
麻酔を注射して、数十分も経つと、体の感覚は全て失われた。
その頃に五十嵐先生が声を掛けてくれた。
その瞬間から、移植が始まった。
骨髄を吸引、注入する機械が腰に刺さり、一瞬不快感に襲われる。
だけど、私は顔をしかめて我慢した。
そこからは凄くあっという間だった。
気付いた時にはもう移植は終わっていて、
笠原先生から「成功したよ」と言われるまで、
中々実感が湧かなかった。
私はストレッチャーで病室に戻され、1週間は誰とも面会出来ないと言う事を五十嵐先生から聞いた。
そこから1週間が経ってお兄ちゃん達が来てくれたけど、そこに蓮歌と小春は居なかった。
そう言って、私は天井を仰ぎ、遠い目をした。。
晴竜がそう言って、雨竜が顔を出した。
雨竜がそんな事を急に言うから顔が熱くなって行くのが分かった。
そこから2週間後には屋上に上がれる様になり、私は久し振りの屋上に心を躍らせ、屋上に足を進めた。
勿論、カーディガンを着てだ。
久し振りの屋上の扉を開けた瞬間、穏やかな風が私の体全体を包んだ。
そう言いつつ、私はスゥッと息を吸い込んだ。
そんなたわいの無い2ヶ月間が続いた。
今日私は退院の日を迎える。
そう言って私は病院を出た。
病院の敷地を出てすぐ、私は思わず歩く足を止めた。
そこには、つい先日再会したばかりの焚石達が立っていたから…。
私はその瞬間、自分でもビックリするくらいの低い声が出た。
全力で造定だよ‼︎。ごめんね‼︎。
by.作者。
そう言って、私は学校に向かって足を進めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!