想像していなかった彼等の言葉に
思わず気の抜けた返事をしてしまう。
そう言う彼等は見るからに落ち込み、
まるで犬が耳を垂らしているようにみえる。
流石は双子…と言うべきなぐらい
勢いもタイミングも完璧に同じ。
段々と恥ずかしくなって
自身の頬が赤くなるのが分かる。
彼等は目を輝かせて私を見ている。
まるで新しい悪戯を思いついた時のように…
〜〜
あの時の私の嫌な予感は
どうやら的中していたらしい。
朝の挨拶をすると同時に彼等は
私をその大きな身体で包んでくる。
''あの日'' 以降こんな感じ。
彼等は朝から晩まで、授業が違う時以外はずっと
私の傍にいて ''好き'' や、''可愛い'' と
言い続けている。
嫌ではないけど……周りの目が…
そう。未だに彼等に対する好きの
正体は分かっていない。
もう少しで分かりそうな気はするけど…
後一歩、確信が持てない。
でも、こうして ぐずぐず していても
気持ちを伝えてくれる彼等に申し訳無い…。
やっぱり、彼等には敵わないな…
全くこの2人は…。
彼女の優しさが身に染みる。
フレッド、ジョージ、アンジェリーナ…
皆とまたこうして他愛も無い会話が
出来ている事実に心が舞い踊る。
夕食の時は何を話そうかな…!
この後の授業で何か話せる事が起こらないかな!
私はそんな事を考えながら
軽い足取りで教室へと向かっていた。
その時…
ゴツッ!!
突如、頭に強い衝撃が走ったかと思うと
私はバランスを崩してその場に倒れてしまった。
朦朧とする意識の中で見えた顔と
聞こえてきた声は……
Continue…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。