ホグワーツで迎える三度目のハロウィーン。
大広間には何百ものかぼちゃがくり抜かれ、燭台の炎がゆらゆらと踊っている。天井に映る空は漆黒に染まり、吹き荒ぶ雲の間を無数のこうもりが影のように飛び交う。オレンジ色の吹き流しは、天井を泳ぐ炎の海蛇となり、ゆらめきながら宴の熱気を撫でていた。
ホグズミードでお腹を満たしてきた者もいたはずなのに、並ぶごちそうの前では誰もが再び食欲を取り戻す。甘く、濃厚なパンプキンパイをひと口。舌に広がる温かな甘さに、私は思わず目を細めた。
隣のハーマイオニーがしみじみと頷く。
宴の締めくくりには、ホグワーツのゴーストたちが現れた。テーブルをすり抜け、壁の向こうから浮かび上がり、静かな空気を震わせる。ほとんど首無しニックがしくじった斬首の瞬間を再現し、悲鳴と笑い声が混じり合う中、祝祭は幕を閉じた。
グリフィンドール塔へ戻る道。楽しい余韻に浸りながら、ハーマイオニーたちと並んで歩く。しかし、廊下の先に詰めかけた人だかりが見えた。ざわめきが広がる。
押し合いへし合いする群衆をかき分けて前に進むと、空気が凍りついたように冷たく感じた。寮の入り口である「太った婦人」の肖像画が、無残にも引き裂かれている。絵の切れ端が床に散らばり、血のように赤い布が闇に沈んでいた。
鋭い声が響いた。ざわめきが波のように広がる中、次の瞬間、ダンブルドア先生が立っていた。
暗い深刻な目で振り返った。マクゴナガル先生、ルーピン先生、スネイプ先生たちが、ダンブルドア先生のほうに駆けつけてくるところだった。
誰かが小さく息を呑むのが聞こえた。肖像画の主は消え去り、ただ傷跡だけが残されている。
マクゴナガル先生が踵を返したそのとき、甲高い声が響いた。 ポルターガイストのピーブズだった。皆の頭上をひょこひょこ漂いながら、いつものように、大惨事や心配事がうれしくて堪らない様子だ。
ダンブルドアは静かに聞いた。ピーブズはニヤニヤ笑いをちょっと引っ込めた。さすがのピーブズもダンブルドアという偉大な魔法使いをからかう勇気はないらしい。
「お可哀想に」と白々しく言いながらしくしくと泣く真似をするピーブズを気にも留めずダンブルドアは訊いた。
ピーブズはやっと聞いてくれたとばかりに嬉々としていた。「驚きしめなさるな」____そう身構えさせられる私たちはピーブズの次の言葉を固唾を飲んで待った。
ピーブズはくるりと宙返りしダンブルドアに向かってニヤニヤすると大きな口を開いた。
その名前を聞いた途端、目の前が真っ暗になった気がした。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。