翌朝、リヴァイは静かに目を覚ました。
心なしかいつもより目覚めがいい。
ベッドから起きあがり、洗面所でうがいと洗顔をする。
キュッ
蛇口を止めて洗濯したての清潔なタオルで顔を拭う。
耳をすませば野鳥の囀る声が聞こえた。
…カタン…
僅かに隣の部屋からも物音がする。
あなたが起きたのだろう。彼もまた起床時間が早い。
程なくして扉が開く音がして、あなたが部屋から出ていく気配がした。
気にはなったがお互いにプライベートというものは存在する。
リヴァイはエルヴィンに話をしに行こうと兵団服に袖を通した。
エルヴィンはリヴァイを部屋に招き入れるなりそう愚痴る。
しかしその表情はどこか明るく、楽しんでいるようだ。
リヴァイはエルヴィンの部屋を見回す。
ミケやハンジなどのベテラン勢の顔ぶれが揃っていた。
ハンジが急かすように言う。
なんだ、と考えてすぐにリヴァイは思いついた。
ナナバが言う。
ハンジの呟きにリヴァイは頷いた。
ワッと部屋が歓声に包まれる。
ガツッ
舌打ちをしてリヴァイがハンジを蹴る。
ハンジは痛がりながらもひどく嬉しそうにしている。
エルヴィンは少し驚いた様子で返す。
ハンジの言葉にそれもそうかとリヴァイは頷く。
エルヴィンがそう告げるとナナバがすぐ聞き返す。
エルヴィンは声を低めた。
ナナバたちは思わず背筋を正した。
ハンジが眉をひそめる。
暴れだそうとするハンジをエルヴィンが宥める。
納得出来ないといった様子でハンジが黙り込む。
ナナバは静かに尋ねる。
パッと顔を上げてハンジが割り込む。
ミケの言葉にエルヴィンが頷く。
ハンジたちは引き締まった様子で敬礼をした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。