『俺の存在価値』
ネットでそう調べると、
普通の答えしか返ってこない。
家族がいるから。
友達がいるから。
心配してくれる人がいるから。
あなたを思っている人がいるから。
生きていることは幸せだから。
生きているのは奇跡だから。
死んでも良い事は無いから。
死んだら地獄に行くから。
死んだら────────
大切な人に会えなくなるから。
俺はいつも思う。
それは、幸せに恵まれてる奴だけだろ、と。
親から虐待を受けている奴じゃ無いだろ、と。
普通の親じゃなかったら。
普通の家庭じゃなかったら。
普通の友達じゃなかったら。
そう思うと、いつも、
心はぐちゃぐちゃになって、
何も考えられなくなるんだ。
こんな時は外に出て、
心を落ち着かせる。
ガチャリ、とドアを開ける。
母さんと義父さんは
まだリビングで話しているようだ。
母さんと義父さんが来る。
早めに出なければ。
一瞬、母さんと目が合った気がした。
………きっと、気のせいだろう。
そうして俺は、深夜のお出かけを始めた。
夜の街はとても静かで、暗い。
車も通らないし人もいないから
一番心が落ち着く場所だ。
家から500mほど離れている
レストランに来た。
いつもここを折り返す場にしている。
でも、帰りたくない
あともう少しだけ、進むことにした。
10mほど進んだという時。
声が聞こえてきた。