目を覚ます。そこは見慣れたようで見慣れていなかった。ボロボロのアパートの一室。硬い布団も、ミニマリストのように何もない部屋も、霊夢の住居と殆ど変わらないが、一つだけ違うところがある。
窓がない。いや、外に通じる窓がないのだ。そのせいで部屋がカビ臭い。唯一隣の部屋に通じる窓はあるが______________。
それは霊夢の自室ではない事を示している。だとすればそれを何と表すのか。
殺人ゲームのプレイヤー。霊夢の職業である。今回で六回目となるゲームである。
まさか、自分一人という事はないだろう。霊夢は他の参加者と合流する為、少しだけ物色してから部屋を出ようとした。
部屋を、出ようとしたが、
危険。脳が危険を感知していた。部屋から出るのは良くないというような雰囲気。一先ず部屋に止まった方が良い。
隣の部屋だ。ここの窓。多分、人が居る。寝てるか起きてるかは分からないけど、一旦窓を開けた方がいいかもしれない。
そう思い、霊夢は窓を開けた。鍵は付いていなかった。その時、相手も同時に開けた。
お互いに素っ頓狂な声を上げる。プレイヤーとしてはゲームが始まった瞬間から気を張っておくべきなのだが…まだまだ初心者の霊夢は、普通に驚いてしまった。相手がいつか見たような殺人鬼だったら、霊夢は既に死んでいた。
初対面の相手だった。背が低くて、気の強そうな、金髪の女の子。
学生でありながらも普段人と話す機会の少ない霊夢。挨拶の仕方すら「これでいいんだっけ?」って感じである。
ああ、と心の何処かで納得してしまった。この外に通じる窓がないのもそう言うことだろう。要は戦後あたりに増えた売春用のヤクザアパートというやつだ。勝手に脱獄したら殺されるような。そうなるとこのゲームは______________
脱出型______________建物、もしくは一定の区間から逃げ出せればクリア。
生存型______________ある一定時間生き残ることができればクリア。
今回のゲームなら、設定的にも脱出型が妥当かな、と霊夢は推理した。
じゃんけんをして霊夢が負けた為、囮となる。それなりに格闘には自信がある為、ヤクザ風のヤツらが襲ってくるのを対処する。そこを金髪の女の子が布団を加工してロープのようにしたもので絞殺する。ヤクザの持っていた銃は二人で山分けした。
戦ってみて分かったことが3つある。一つ、このアパートは三階建てであること。二つ。霊夢達のフロアは二階であること。三つ、二階にはヤクザ風が七人居たことから、アパートのヤクザ風は恐らく21人であること。
そして、この階に二人以外の人間は居なかった。部屋も二部屋しかなかったから、二階ではまだプレイヤーは死んでいない。
つまり、一階か三階。どちらに行きたいかと言われると______________
一階ならばプレイヤーを助ける事ができなくても逃げ切る事ができる。だが三階は追い詰められた時に飛び降りるしかない。落ちても多分死なないが、足を怪我すれば逃げる事が困難になる。避けたい。
…なんか初めて聞いた情報もあるが、霊夢は一階に進んだ。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。