第6話

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2019/12/19 12:05
まふまふside



丸めた紙をあなたに向かって投げてみた。
まふまふ
まふまふ
あなた。
あなた。
………
不機嫌そうな顔であなたがこっちを見てくる。
まふまふ
まふまふ
ククッ
面白い。


やっぱり僕はあなたが嫌いだよ。
だって、あなたの不機嫌そうな顔を見ると、
面白くて仕方ない。
まふまふ
まふまふ
………アイツの言うことなんて…
絶対嘘だ。
僕があなたを好き???
馬鹿馬鹿しい。
そんな事、あり得るわけがないだろう。



そう。あり得るわけ、ないんだ。
まふまふ
まふまふ
…はぁ………
ため息をついて机につっぷすと
誰も座っていない空っぽの席が目にはいる。
アイツの席だ。
アイツは、この学校に入学してから一度も学校に来ていない。
……アイツっていうのは僕と同居してる男子の事。
底が知れなくて少し怖いけど、
優しいヤツだ。
まふまふ
まふまふ
………って、何に向かって説明してるんだ……僕………
………なんて言って一人で苦笑すると同時に、授業終了のチャイムが鳴った。
すると、いつものように僕は女の子に囲まれる。
モブ
モブ
まふく~ん!
今日の授業、難しかったねぇ!
気持ち悪い猫撫で声。
吐き気がする。
それでも僕は取り繕って笑顔で女の子達の相手をする。
まふまふ
まふまふ
ね~!
僕も難しすぎて途中から寝そうになってたよー!
はっきり言って授業の内容は今までの応用ばかりで難しくなかった。


それでも、人は同意を求めるから。
僕はとにかく取り繕って、
なんでも『そうだね~』って相づちをうつ。
そうすると、ボウリングの玉みたいに人はコロコロ僕の方に転がってくる。
モブ
モブ
!!やっぱりそうだよねぇ!!!
まふくんなら分かってくれると思ったよぉ~!!
ほら。また僕の方に転がってきた。
モブ
モブ
私、おバカさんだから全然分かんなくってぇ………まふくん、もし分かるなら教えてほしいなぁ~……
まふまふ
まふまふ
えっ………そ、それはぁ……
しくった。
僕の方に転がさせ過ぎた。
昨日も転がってきすぎた女子
気持ち悪い声で誘ってきたばかりなのに、
またやってしまった。



こうなると、突き放す以外に方法はなくなってしまう。
まふまふ
まふまふ
………ごめん!
僕も、良くわかんないんだ!
モブ
モブ
えぇ~……じゃあ、一緒にお勉強しようよ!
分からないもの同士!!
まふまふ
まふまふ
いやー………それはちょっと……
どうしよう。どうやって断ろう。
回りに人がいるから、昨日みたくあなたが好きって嘘をついて突き放すのはできない。
どうすれば………




思考をフル回転させて考えていると、
目の前をあなたが通りすぎた。
………これだ!
まふまふ
まふまふ
そうだ!勉強できないなら、
堅物さんに教えてもらえば?
モブ
モブ
えっ。
あなた。
あなた。
は?
まふまふ
まふまふ
堅物さんなら
成績もいいし………ね?
あなたの肩をがっちり掴んでグイグイと女子の方に押し寄せる。
あなた。
あなた。
ちょっと、何?
あなた。
あなた。
やめてくれない?
僕の手をはらって、あなたが険しい顔でこっちを睨んでくる。
まふまふ
まふまふ
(ゾクッ)
やっぱりあなたの嫌がってる顔は面白い。
ずっと見ていても飽きない程に。
モブ
モブ
ちょっ、ちょっとまふく~ん!
女子が僕の後ろに隠れてあなたの事を蔑んだ目で見る。
モブ
モブ
堅物さんに勉強教わるとか~、
冗談きつすぎだよぉ!
モブ
モブ
そんなの、堅物さんなんかに教わりたいはずないでしょぉ!
少し笑いながら女の子が言う。
あなたはあまり女子から好かれていない。
まふまふ
まふまふ
………
さすがにその言い方はどうなんだと思った。
けど、僕はいつも通り薄っぺらい笑みを浮かべてこう言う。
まふまふ
まふまふ
そーだよねー!!
まふまふ
まふまふ
冗談冗談!!
ごめんって~!
モブ
モブ
も~!









…………ごめん。あなた。

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