前の話
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道枝「あの……俺と付き合ってもらえませんか?」
○○「……は?」
道枝「だから……付き合って…ください」
○○「あ……はい…いいですけど…」
この時、なぜ私はこんな返事をしたのか分からない。
普通に、気が動転してたんだと思う。
付き合うって何?どうすればいいんだろ…
道枝「あの、LINE交換してもらってもいい?」
○○「あ、あぁ、はい」
スマホを取り出しLINEを交換する。
それにしても、こんなカッコイイ人が
何で私みたいな陰キャに告白してきたんだ?
その日、帰宅してから道枝にLINEをした。
○○〖これは何かの罰ゲームか何かですか?〗
道枝【ごめん。そんな感じ】
ショックと同時に、やっぱりな、と言う気持ちもあった。
○○〖やっぱり。じゃぁ、3ヶ月。
3ヶ月だけ付き合って下さい。
好きにならなくていいので〗
道枝【分かった。迷惑かけてごめん】
翌日。
男子A「なぁ、みっちー、罰ゲームで○○に告って
OKされちゃったんだろ?この先どーすんの?笑」
道枝「向こうは悪くないし、とりあえず付き合ってみる」
男子B「○○もOKするなんて舞い上がっちゃったのか?
普通分かんだろ、罰ゲームかなんかって笑笑
誰がお前みたいな陰キャに告白するんだっての」
道枝「やめろよ、元々そんな事した俺らが悪い」
男子A「まぁ、一応?今はみっちーの彼女なわけだし?
今後どうなるのか楽しみにしてるわ笑笑
OKされちゃった以上、付き合ってやんないとね笑」
道枝はこの3ヶ月だけ付き合うと言う約束は、
あえて言わなかった。それを言ったら、また○○が
悪く言われる気がして嫌だった。
帰り、ふと気づくと○○と道枝だけ教室に残っていた。
道枝「あのさ、一緒に帰らない?」
○○「い、良いんですか?」
道枝「付き合ってるんだし、普通でしょ?送るよ」
○○「ありがとう……」
恥ずかしそうに少しうつむいて、顔を赤くする○○。
何となく、可愛いと思った。
○○「あの、何の罰ゲームだったんですか?」
道枝「あー…ボーリング…最下位になったやつが
○○さんに告白するって言い出して、
それで、俺が負けて」
○○「ふふっ、残念でしたね。
ごめんなさい、つい、OKなんかしちゃって」
道枝「いや、全然。俺の方がホントに失礼で…ごめん…」
○○「良いの良いの!3ヶ月だけ好きにならせて下さい。
3ヶ月終わったら別れましょ」
道枝「何で3ヶ月なの?」
○○「なんとなく笑 キリが良いから」
道枝「なにそれ笑」
○○「あ、やっと笑ってくれた」
道枝「え?」
○○「道枝くん、ずっと申し訳なさそうにしてるから。
どうせ期間限定の恋人同士なら、楽しみませんか?
それとも…やっぱり無かったことにしたいですか?」
道枝「ううん、いいよ。期間限定の恋人同士。
思いっきり楽しもうか」
○○「はい笑 じゃー、まずは…週末、
お出かけしませんか?」
道枝「デート?」
○○「そう。えーっと……動物園とか!」
道枝「良いよ。行こっか」
○○「じゃ、また時間とかLINEしますね」
道枝「あ、じゃぁ…○○!って呼び捨てにするから、
○○も、敬語やめてよ。せめて、恋人同士の間は」
○○「うん、分かった。私も…駿くんって呼んでも
いいかな?」
道枝「うん、もちろん」
そんな事を話しながら、家まで送ってもらう。
○○は家の中に入る時、道枝の方を振り返って
小さく手を振る。
そんな姿も、やっぱり可愛いと思った道枝。
次の週末。
動物園に行くため、駅前で待ち合わせをした2人。
○○「駿くん?お待たせ」
道枝「……え?○○?!」
○○「え?何でそんなに驚いてるの?笑」
道枝「だ、だって、学校とイメージ違いすぎるから…」
○○「そりゃ、校則とかあるし、
制服と私服じゃ違うしね笑
それに…駿くんも、制服も良いけど、
私服もやっぱりカッコイイね」
そう言ってニコッと笑う○○。
道枝「そ、そんな事ないよ。行こっか」
○○を直視出来なくて、照れ隠しをするように、
歩き出す。
○○「あ、ちょっと待ってよ」
後ろからパタパタっと小走りで追いかける。
道枝「ほら、行くよ」
道枝が手を出す。
○○はその手を掴むと、道枝が、ギュッと手を繋ぐ。
動物園に着き、色んな動物を見て回る。
○○「あ、ライオンがいるー可愛い💕」
○○「あ、ペンギン!見て見て、泳ぐのめっちゃ早い!!!!」
○○「駿くん!アザラシの赤ちゃんだって!可愛いね〜」
○○が動物を眺めている時、道枝は動物を見ながらも、
いつの間にか○○に目が行っていた。
○○の楽しそうな横顔があまりにもキレイで、可愛くて。
道枝「はい、紅茶でいい?」
○○「わっ、ありがとう!温かい!」
道枝「○○今日すごい楽しそうだね」
○○「うん!動物園なんて久しぶりだし、
可愛くてついテンション上がっちゃった笑
ごめんね、1人でうるさくて」
道枝「ううん、全然、可愛かった」
○○「え、やだなぁ、駿くん笑
いくら恋人のフリって言っても
お世辞言って欲しいなんて思ってないよ///」
道枝「え、あ、いや、お世辞じゃないよ」
○○「へへっ、ありがとう」
道枝(この、照れる時の顔…可愛いんだよなぁ……)
一通り、動物園を楽しんだ後。
○○「今日はありがとう。楽しかった」
道枝「あ、あのさ…良かったら、
お茶でもしに行かない?」
○○「良いの?」
道枝「だって、まだ時間早いし。
もう少しデートっぽいこと、してもいいかな?って」
○○「なるほどね笑 じゃ、行きますか」
道枝は嬉しそうに笑う。
道枝「あ、ここ。俺がよく来るお店。
俺、コーヒー好きで色んなカフェ行くの趣味なの。
その中でもここは特に好き」
○○「へぇ〜……じゃ、駿くんのオススメを
お願いします」
注文を済ませると、道枝から声を掛けた。
道枝「○○ってさ、いつも本読んでるけど、
小説ばっかり?」
○○「まさか笑 学校だから、怒られない小説
読んでるだけで、家だとマンガばっかりよ。
少年マンガも少女マンガもけっこう色々読むよ」
道枝「そうなの?!俺もマンガ読むの凄い好きなの!
ちなみに姉ちゃんいるから少女マンガとかも
全然読む…って男が少女マンガ読んでたら
引くか……」
○○「全然引かないよ笑 そんな人いくらでもいるよ。
大丈夫 笑」
道枝「ほんと?良かった。少女マンガのさー、
キュンキュンするのとか結構好きなんだよね」
○○「分かる分かる。現実じゃなかなか叶わないような
シチュエーションとかね、
つい、キュンってしたりさ」
道枝「あるよねー」
以外にも2人でマンガの話で盛り上がった。
○○「じゃ、ホントにこれで…」
道枝「家まで送るよ」
○○「……うん」
道枝「はい」
そう言ってまた、手を差し出す。
手を繋いで、家に向かう。
さっきまで盛り上がっていたのに、
帰り道は何だか静かだった。
○○の家に着く。
○○「わざわざ、家の前までありがとう。
1日、ホントに楽しかった。
初デート、いい思い出になった」
道枝「俺も楽しかった。何か、学校とは違う○○を
たくさん見れて、楽しかった」
○○「じゃ、また学校で…」
そう言いかけた時。
道枝「来週は?」
○○「え、来週?」
道枝「俺、彼女とは毎週休みの日には絶対会いたい
タイプなんだよね。だから、来週は、どこ行く?」
○○「ふふっ笑 うーん、どうしようか?駿くんは?
何したい?」
道枝「じゃ、来週は俺ん家で一緒に漫画でも見ない?」
○○「漫画鑑賞会ね、了解」
笑顔で返事をする。
ドキドキする道枝。
道枝「じゃ、また、LINEする」
○○「うん、ありがとう。
あ、駿くん、学校では無理して私に関わらなくて
良いからね。私どうせ良い印象持たれてないし。
それじゃ」
そう言うと家の中へ入って行った○○。
何で……そんな事言うんだよ。
俺のため…?罰ゲームで告白したから?
確かに、最初は印象薄かったけど、
今日1日一緒に過ごしてみたら、可愛いとこ
いっぱいあって、話しやすくて、楽しくて
もっと一緒に居たいって思ったし。
そんな寂しいこと言うなよ。
次の日の学校。
真面目な○○はまたいつも通り、
大人しく小説を読んでいた。
サラサラの長い髪も1つにまとめている。
道枝はいつもの男子に囲まれていた。
男子A「なぁ、みっちー、週末どうしてた?」
男子B「何かみっちーが女と一緒にカフェに居たの
見たって聞いたんだけど、まさか○○と
デートでもしてた?」
道枝「うん、まぁ」
男子B「マジか!なに、ホントに付き合ってんの?」
男子A「みっちー、優しすぎん?
そんなの、罰ゲームの嘘の告白でーす!
付き合えませーん!って逆にフッちゃえば
良かったのに」
道枝「別にそこまで……」
AとBがふざけて笑っている時だった。
同じクラスメイトの学級委員が○○に話しかけていた。
何を話しているのか分からなかったけど、
○○は笑顔で何だか楽しそうに話をしていた。
学級委員の男子も笑顔で、
その後2人で教室を出ていった。
………何、あれ。何話してたの?
2人でどこ行ったの?
気になる。ってか、何この感じ。
俺、今ムカついてるよな、完全に。
次の休みは、道枝の家でマンガ鑑賞会という名の、
おうちデート。
2人でコンビニでお菓子やジュースを買い込み、
道枝の家まで行く。
○○「うわぁ、ホントにたくさんマンガあるんだね。
あ、これは私気になってたけど、
まだ持ってないやつだ!」
道枝「じゃー、是非それ読んでみてよ。
絶対面白いからオススメ」
○○「そうなんだ。じゃ、これから読もうかな」
道枝はバックミュージックに音を小さめに
好きな曲を流した。
○○「駿くん、これって駿くんの好きな曲の
プレイリスト?」
道枝「ん、そうだけど?」
○○「私も好きなんだ、このグループの曲!」
道枝「え、ホントに?」
○○「ほんとほんと!見て、私のスマホのプレイリスト」
そう言って画面を見せる。
道枝「ははっ、ほんとだ!」
2人は顔を合わせて、ふふっと笑い合う。
隣に並んで、マンガを読みふけった。
道枝「寒くない?これ使って」
ブランケットを渡す。
○○「ありがとう」
大きめなブランケット。
道枝「おじゃましてもいいですか?」
○○「あはは笑 どうぞ笑」
1枚の大きなブランケットに、ふたりが一緒に入るには、
お互いがくっついてしまう。
お互いに冷静を装っていたけど、触れ合った左右の腕が、とても熱く感じた。
しばらくすると、道枝の肩にコツンと
○○の頭が当たった。
ブランケットと、触れ合う2人の体温が温かくて、
いつの間にかウトウトと眠ってしまった○○。
道枝の肩にもたれかかるように寝ていた。
道枝「○○…?」
名前を読んで顔を見てみたら、気持ち良さそうで、
そんな○○の寝顔を見ると、
何だか幸せな気持ちになった。
そして、無意識に、自分も○○の頭に少し頭を
傾けてみた。
○○のスースーと言う小さな寝息が可愛くて、頬が緩む。
道枝「可愛い……」
少しして、身体が痛くならないように、
ゆっくり寝かせ、ブランケットをかけた。
○○が起きたのは1時間後くらいだった。
○○「あれ?やだ、私寝ちゃってた!ごめん、駿くん」
道枝「全然、気にしないで。気持ち良さそうだったから、
起こす気になれなかった笑」
○○「せっかく2人で居たのに…」
道枝「おうちデートの良いところは、
そういうところじゃない?俺は嬉しかったよ。
別に何するわけじゃなくても、
そこに居てくれるだけで嬉しいって思えたから。
だから、気にしないで」
○○「駿くん……」
それから、3ヶ月経つまで、
毎週のようにデートを重ねた。
テーマパークへ行ったり、
ショッピングモールへ行ったり、何度か道枝の家で
マンガ鑑賞会をしたり、映画を見に行ったりと、
気付けば本当に濃い時間を過ごしていた。
最後のデートの日。
この日は水族館へ行った。
○○「駿くん、この3ヶ月、本当に
楽しい毎日をありがとう。私のわがままに
付き合ってくれてありがとね。
これで、恋人期間は終わりだから、
駿くんのホントに好きな人に、
好きって言えると良いね。私、本当に幸せだった。
嘘の告白だったのは残念だったけど……
3ヶ月付き合えただけで幸せ。駿くんと過した
3ヶ月は、全部私の初めてだったから、
ずっと忘れないよ。じゃ、また、
今度はクラスメイトとして会おうね」
道枝「ねぇ、でもさ、俺まだ聞いてない。
○○は、結局俺の事どう思ってたの?」
○○「……好きだったよ。大好きだった」
道枝「俺も、好きだった。大好きだった。
でも……終わりにしなきゃダメ?」
○○「え……?」
道枝「そりゃ、最初は罰ゲームから始まって、
申し訳ないからって気持ちだけで3ヶ月は責任もって
付き合うって決めた。でも、○○と居ると楽しい。
趣味も同じで、照れた顔が可愛くて、嬉しそうに
笑う顔が可愛くて、寝てる顔も可愛くて、
ほら、そんなふうに涙ポロポロ流しちゃう顔も
可愛いから、離したくなくなっちゃった……」
そう言って○○を抱き寄せた。
道枝「泣かせてごめん。泣いてる顔も可愛いけど、
泣かせるのはダメだよね。本当にごめん」
○○「こ、これは嬉し泣きだから、大丈夫」
道枝「僕と付き合ってもらえませんか?」
○○「罰ゲームですか?」
道枝「ううん、違う。本気で好きになりました。
大好きです。今度は無期限で付き合って下さい」
○○「はい、よろしくお願いします」
そう言って抱きしめあった。
恋をしていました
気づけば君でした
甘く切ない魔法に
僕はかけられた
君が好きだ 君が好きだ
その言葉が…
伝わるかな?伝えたいんだ
君じゃなきゃダメさ












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。