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第6話

紙とペン
218
2021/06/26 12:17
治療室にて治療を終え、子どもへの質問が始まった。
···が、子どもは何も話さない。
何かを聞けば、口を動かすが声は出ず、
困ったような顔をする。
要するに、話せないのだ。
子どもは困った顔をして、辺りを見回す。
そして、何かを見つけ、指さした。
其れは、紙とペンだった。
太宰が其れ等を持ってくると、子どもはサラサラと
先程迄の質問への答えを書いていく。
『名前···あなたの名字あなた
年齢···11歳
性別···女
幽閉された理由···異能実験の検体としてだと思います。』
其れを読んだ双黒と首領ボスは顔をあわせる。
中原中也
異能、実験···!?
中也の顔に嫌悪の色が浮かぶ。
太宰治
と云うことは、
君には異能が在るのかい?
あなたはコクンと頷く。
首領
其れはどんな異能なんだい?
首領ボスが聞くとあなたはフイと顔を背けた。
太宰治
ふっふふw
太宰は思わず吹き出した。
首領
っ···佳い
首領ボスの嬉しそうな反応を見た双黒は···引いた。
太宰治
え゛···
中原中也
お、おい、教えてくれ!
手前のためだ!
中也が若干顔を青ざめつつ聞くと
あなたは少し考える素振りを見せてから、
『精神治癒の異能力らしいです。』
と、書いた。
3人は皆驚いた。
当たり前だ。
治癒系の異能力自体がかなり希少で在るのに、
ましてや精神治癒の能力など、聞いたことがない。
暫くして、首領ボスが云った。
首領
あなたちゃん、君のことは
我々ポートマフィアが保護しよう。
首領
私と紅葉君、何方が佳いかな···?
太宰治
···中也、今姐さん如何してるかな?
中原中也
今の時間なら茶会じゃねェか?
最近は比較的暇らしいぜ。
首領
···はぁ。
紅葉君に頼もうか。
双黒
了解しました。
首領ボスが折れると、双黒はあなたを連れて執務室を後にした。
やがて、1人になった首領ボスは、誰にともなく云った。
首領
若し彼の時、与謝野君と共に
あなたちゃんが居れば、完璧な···
首領
否、もう過ぎたことだね。

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