治療室にて治療を終え、子どもへの質問が始まった。
···が、子どもは何も話さない。
何かを聞けば、口を動かすが声は出ず、
困ったような顔をする。
要するに、話せないのだ。
子どもは困った顔をして、辺りを見回す。
そして、何かを見つけ、指さした。
其れは、紙とペンだった。
太宰が其れ等を持ってくると、子どもはサラサラと
先程迄の質問への答えを書いていく。
『名前···あなたの名字あなた
年齢···11歳
性別···女
幽閉された理由···異能実験の検体としてだと思います。』
其れを読んだ双黒と首領は顔をあわせる。
中也の顔に嫌悪の色が浮かぶ。
あなたはコクンと頷く。
首領が聞くとあなたはフイと顔を背けた。
太宰は思わず吹き出した。
首領の嬉しそうな反応を見た双黒は···引いた。
中也が若干顔を青ざめつつ聞くと
あなたは少し考える素振りを見せてから、
『精神治癒の異能力らしいです。』
と、書いた。
3人は皆驚いた。
当たり前だ。
治癒系の異能力自体がかなり希少で在るのに、
ましてや精神治癒の能力など、聞いたことがない。
暫くして、首領が云った。
首領が折れると、双黒はあなたを連れて執務室を後にした。
やがて、1人になった首領は、誰にともなく云った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。