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第7話

甘い時間
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2024/07/11 09:09 更新




二人のことをもっと知りたいと、言い出したのは自分自身だったか、あまりにも長いほど語られた話のせいで、今話しているジェミンの言葉すらスラスラと入ってこないほどだった。


ヘチャンとジェミンは小学生からの友人であり、どちらも体が弱く入退院を繰り返していたこと。ヘチャンは歌が上手いこと。ジェミンは料理が得意であり、兎に角美味いから一度食えとヘチャンからの助言。先ほど保健室に来たジェノはジェミンの彼氏であること。ヘチャンは中学生時代彼女に振られて五ヶ月も引きずっていたこと。そして今語られるジェミンとジェノの性事情。



「だーかーらー、ジェノがほんとにかっこいいの。キスする時の目とか腰に腕回してくるとことか…」


「うるせえよ!!誰に需要あんだよそれ。ほらロンジュナも困ってる!」



ジェミンの惚気にヘチャンは耐えきれん、と顔を歪ませて口を開く。大きく通る声で始まった口喧嘩。ほんとうに仲が良いんだなあ、と微笑ましくなったのと同時に、羨ましくも思えた。



「ふふ、ジェミナとヘチャナは仲良しだね」

「今からジェミナよりもロンジュナと仲良くなっから!」

「ええー、だめだよロンジュナぼくと沢山仲良くしなくちゃ〜。」

「お前にはジェノがいんじゃん!それだけで満足だろどうせ!」

「そんなふうに大声で色々話すから彼女にも振られるんだよ。学習しないねえ、ヘチャナ」



してやったりとニヤつくジェミン。ヘチャンの何も言い返せないように拗ねた顔が熊のようで少し愛らしかった。



「ヘチャン、うるさいよここがどこだか分かってんの?」

「あーもう!そうやってドヨニヒョンも俺のこと虐める!!」

「虐めてんじゃなくて注意してんの!」

「うるさい小言ばっかじゃん俺ばっかり!」

「もー、ロンジュナどうにかしてよこの茶熊」

「あはは、ドヨン先生とヘチャナも仲良いんですね」


ヘチャンの散々な言われようがなんとも面白くて、思わず笑ってしえば、それにつられてジェミンもほくそ笑んだ。




大きな声で笑うジェミンを横目に見ていればその後に立ってこちらをニコニコと微笑む人。随分と前に保健室に足を運んだジェノがいた。


「ジェ、ジェミナ!う、うしろ!!」

「んん、うしろ?」

「うしろ!ジェノ!」

ジェノがどうしたのだろうと、後ろをゆっくり振り返ればジェミンもそれに気づいた。

「ずいぶん大っきな声で笑ってたねジェミナ。僕に気付かないくらい楽しかったの?」

「びっくりしたよおジェノヤ。名前くらい呼んでくれれば気づいたのに。」

「なにがそんなに面白かったのさあ。俺がココに来たらすぐ気づいてくれるのにさー」


そんな微笑ましい会話に、耳を傾けて見ていれば、隣にいたヘチャンはおばけを見たようにあんぐりと口を大きく開けてその光景を見詰めていた。

「いやいや、なにその怖すぎる会話。ジェノそんな嫉妬深いと嫌われんぞ!」

「何言ってるのヘチャナ。ジェミナが僕の事嫌いになるなんてあるわけないでしょ?」

「え、怖っわ。どっからでてくんの?その自信」


もうヘチャンのことなど気にもしないようにジェノはそっとジェミンの潤った唇にキスをした。


「んふふ、ジェノヤずーっと大好きだよ。」

「僕もだーいすきだよジェミナ。」


甘い空間に、まるで少女漫画を見ているような感覚。

そんな甘い空間をぶち破ったのは当たり前にヘチャンだった




「お前らほんと頼むからよそでやって!!!」








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