その出来事から、ドヨン先生の配慮によって今日1日は保健室で過ごそうと。
ロンジュンの助け人であるヘチャンもそれに同行する!と声を上げ、ここに。ジェミンは当たり前かのようにロンジュンの隣に腰掛けて1日を過ごそうとしている。
数十分前に出来た初めての友達。
その関係がロンジュンを変えていった。
「そういえば、ジェミナは保健室に用があってきたんじゃないの?」
「ん〜?ぼくは別に用ないよ、いつも保健室で勉強してるんだよ〜」
「そうだったの、なんで、?」
「あんまり体強くないし朝起きれないからこうやってのんびりここで過ごしてるの」
聞いてよかったのか、と思い俯くロンジュン。そこにすかさずヘチャンが割り込み助け舟を。
「そろそろ授業終わんぞ。まーたお前んとこのデカいサモエドが来ちゃうんじゃねーの」
「んふふ、やっと会える〜」
嬉しい気持ちを隠すことなく、白く綺麗な顔を喜びでふわりと輝かせた。心の底から嬉しいと思っているであろう顔、横目に見えたこれ以上にない幸福に歪ませた顔が綺麗だった。
サモエドは犬の犬種なのに来るってどういう事なんだろうか、と頭の中でぐるぐる考えているその時。今日の4人目のお客さんが保健室へと足を運んだ。
「失礼します。ジェミナ〜、会いに来たよ…って、え?」
「あ!!来た束縛野郎!!」
保健室に足を踏み入れた瞬間、いつもは来客が少ないはずの保健室に3人も座ってこちらを覗くものだから、思わず声を漏らしたサモエドことジェノ。
ヘチャンの大声にジェミンは「もぅ、」と困った顔をしながら腰を上げた。
一歩、また一歩とジェノへと近づく
「ジェノ、会いたかった。」
ジェノの肩にぐったりと寄りかかる姿。
二人の関係を知らないロンジュンは、驚いて口が開いたまま閉じることがない。
だって、たった数時間の関係とは言えこんな甘ったるいジェミンの声を聞いたのは初めてだったのだ。ジェノと呼ばれるこの青年に会った瞬間、まるで恋人同士のように接して甘ったるい雰囲気を作り出した。なんとも驚愕。やはりまだまだ聞くことがたくさんあるな。
「うげー、ここですんなよ何も知らないロンジュナだっているんだから」
「初めて見る子、ジェミナの新しいお友達?」
「今日お友達になったの。すっごく素敵な子だよ」
ジェノの首に腕を回したジェミンが、じっとロンジュンを見るためにこちらに首を回して見詰める。
なんとも不思議な空間。隣に座ったヘチャンは「ここですんなよマジで…」と不満をこぼす。そしてなによりロンジュンの目線の先にいる二人の男。友人であるジェミンと親密な関係そうな男、ジェノ。
保健室の入口で、今にもキスしそうだというくらいの距離感でいるのだ。ジェミンの腕はジェノの首にかけられて、ジェノの腕はジェミンの腰元に回っていた。
「な、なにあの二人、見てるこっちが恥ずかしいよヘチャナ、」
「ほら!!ロンジュナが恥ずかしいってさ!!昼間から盛るなよほんと」
「折角会えたのに〜、ぎゅうしただけじゃんねぇ」
おっとりとしたジェミンの喋り方。その光景を見てにっこりしているジェノ。気持ち悪い!と声を荒げるヘチャン。放心状態のロンジュン。なんともカオスである。
「はあもう、茶番はよして。ジェノもう予鈴なっちゃうから早く行きな〜」
「ふふ、はーい。ジェミナまたね、昼会いに来るから」
「まってるよぉ。早く会いに来てね」
ドヨン先生が声を上げたことにより終わる甘い空間。楽しいなあ、と感じるこの空気感にハッとした。
まて、ロンジュン。
さっきのジェノはジェミナのなんなのか。ジェミンは保健室登校なのに、なぜヘチャンと仲が良いのか。そもそもこんなに馴れ馴れしくていいのだろうか。
初めてのことだった。こんなに人の事を知りたいと思えたのは。今日、この出来事が偶然なんかじゃなくて、運命だとして。ロンジュンにとって奇跡だとして。
彼等のことを、理解できる人間になりたかった。理解したら、きっと二人のことを信頼できるから。困った時に助け合うことができるから。
憧れだった友人に、声を掛ける
「あ、あのさ、!」
「お?なにさロンジュナ!!なんかあったんか!」
「んん?どうしたのロンジュナ〜」
すっと息を吸う
呼吸を止めて、また再開して。
ぎゅっと恥ずかしさを堪えて声を張り上げた。
「もっと二人のこと知りたいんですけど、!!」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。