第130話

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2026/02/12 21:00 更新





ルカ・エミレーゼ
温まった?
我妻善逸
はい!!
嘴平伊之助
俺は元々寒くなんてなかったけどな!
 





そう言って胸を張った伊之助に一瞬目を向け、火をくべている焚き火の前に立つルカさんが話し始めた。
腕を組んでいて、口にはいつも通りの笑みが浮かんでいる。






ルカ・エミレーゼ
独逸ドイツの鬼の主はそこの森の中にいる
ルカ・エミレーゼ
君達が焚き火するために入った森ね
我妻善逸
……え!?!?
我妻善逸
嘘でしょ!?
嘴平伊之助
んな森のなかにいるわけねぇだろ!?
ルカ・エミレーゼ
実はホントなんだよね〜







片方の手を頬に当て、ゆったりと首を傾げて笑っている。







ルカ・エミレーゼ
ということで入っていこうか
あなた
え、急すぎません??
ルカ・エミレーゼ
そう?
ルカ・エミレーゼ
鬼を殺すのは早いほうが良いでしょ?
我妻善逸
ホントに森のなかにいるんですか?
我妻善逸
だって、森って人、いませんよね……?
ルカ・エミレーゼ
いい質問だね
ルカ・エミレーゼ
ソイツは興味で鬼を生み出して、独逸ドイツに鬼を創った奴なんだ
ルカ・エミレーゼ
人里を離れたのは何か人目につかないようにしようとしてるからだ、と判断した
ルカ・エミレーゼ
だから人から離れて、理性を保っているように見えても殺しに行くよ
ルカ・エミレーゼ
……これでいいかな?
我妻善逸
おぉ……
嘴平伊之助
凄ェ、分かりやすいな、お前!
ルカ・エミレーゼ
はは、どうも〜








そしてルカさんが先頭になって、森の中へと足を踏み入れた。









木の密度が濃く、地上にほとんど光が落ちてこない。
青々とした木々の匂いと、土の匂いが辺りに立ち込めていた。




印もない獣道を、スタスタと迷わずにどこかへ歩いていく。








我妻善逸
これさ、突然刃物振り上げられて殺されてもおかしくないよね
嘴平伊之助
は? 嘘ついてたってことかよ
我妻善逸
いやもしもの話ね??
我妻善逸
でも迷いがないじゃん! 怖いじゃん!
クルト・バルシュミーデ
殺しはしないだろ、流石に
あなた
そんな事ないって言わないのね
クルト・バルシュミーデ
そこまでの信用はない
嘴平伊之助
はぁーー!?
ルカ・エミレーゼ
ちょっと〜?
ルカ・エミレーゼ
全部聞こえてるよ〜?
我妻善逸
やべっ
ルカ・エミレーゼ
お望みならやってあげなくもないけど、今から鬼と戦うからね
ルカ・エミレーゼ
もう近いから







その言葉で、一斉に口を閉じる。






あたりはさっきから何も変わっていないような木々が生い茂っている。



日が落ちたのか、わずかな明かりもないように見える。











そんな中、ポツリと一つ、遠くの方に明るいところが見えた。










あなた
……あそこ?
我妻善逸
鬼の音がし始めたから、たぶん







そのまま進むと、自分たちが歩く足音以外に一つ、ひときわ大きな音が聞こえ始めた。




リズミカルにテンポよく、弾むような足音がする。









クルト・バルシュミーデ
踊ってる……?






ある程度の距離を保って、ひとまず止まる。







ソイツは、森のなかでポツリとひらけたところにいた。
倒れた木と開いた空間とソイツが月の光を浴びて、神々しく思えてしまう。













ソイツは、子供で、灰色の髪をしていた。













ソイツは、顔の前に布をつけていた。













ソイツは、白の袖無しの服と、短い股引ズボンを履いていた。












ソイツは、腕に布を巻き付け、指先が見えなくなっていた。











ソイツは、こちらに気づいていないわけがないのに、知らない顔して舞っていた。












ソイツが舞うことで動いた布の隙間から見えた目は、真っ赤な紅色だった。










その神々しく思えた光景を見て、私達は動きを止めた。









 
クルト・バルシュミーデ
『雪の呼吸 壱ノ型 彩雪・雪の華』
ルーチェ・クララ
……







まず真っ先に動いたのはクルト。




それに続いて、クララさんが指先を銃に変化させて撃っている。









我妻善逸
ええぇぇぇぇ、行くのぉ!?
我妻善逸
ムリムリムリムリ帰るぅ!!
ルカ・エミレーゼ
だーめ、頑張って
嘴平伊之助
『獣の呼吸 弐ノ牙 切り裂きィ』!!
あなた
『月の呼吸 参ノ型 厭忌月・銷り』







善逸が泣きわめくのを横目に、その鬼に突っ込んだ。








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