そう言って胸を張った伊之助に一瞬目を向け、火をくべている焚き火の前に立つルカさんが話し始めた。
腕を組んでいて、口にはいつも通りの笑みが浮かんでいる。
片方の手を頬に当て、ゆったりと首を傾げて笑っている。
そしてルカさんが先頭になって、森の中へと足を踏み入れた。
木の密度が濃く、地上にほとんど光が落ちてこない。
青々とした木々の匂いと、土の匂いが辺りに立ち込めていた。
印もない獣道を、スタスタと迷わずにどこかへ歩いていく。
その言葉で、一斉に口を閉じる。
あたりはさっきから何も変わっていないような木々が生い茂っている。
日が落ちたのか、わずかな明かりもないように見える。
そんな中、ポツリと一つ、遠くの方に明るいところが見えた。
そのまま進むと、自分たちが歩く足音以外に一つ、ひときわ大きな音が聞こえ始めた。
リズミカルにテンポよく、弾むような足音がする。
ある程度の距離を保って、ひとまず止まる。
ソイツは、森のなかでポツリとひらけたところにいた。
倒れた木と開いた空間とソイツが月の光を浴びて、神々しく思えてしまう。
ソイツは、子供で、灰色の髪をしていた。
ソイツは、顔の前に布をつけていた。
ソイツは、白の袖無しの服と、短い股引を履いていた。
ソイツは、腕に布を巻き付け、指先が見えなくなっていた。
ソイツは、こちらに気づいていないわけがないのに、知らない顔して舞っていた。
ソイツが舞うことで動いた布の隙間から見えた目は、真っ赤な紅色だった。
その神々しく思えた光景を見て、私達は動きを止めた。
まず真っ先に動いたのはクルト。
それに続いて、クララさんが指先を銃に変化させて撃っている。
善逸が泣きわめくのを横目に、その鬼に突っ込んだ。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。