真っ先に飛び込んでいったクルトの攻撃を避け、クララさんの銃弾も軽々と躱した鬼は何かを呟いた。
その瞬間、眩い光に視界が覆われ、目がチカチカして何も見えなくなる。
目が見えるようになるまで無闇矢鱈に攻撃するわけにもいかず、刀を構えたまま耳を澄ます。
確かに、命を狙われている時のような圧が、どこからもかかってこない。
鬼が出した光だとすると、ソイツ自身は見えているはずなのに。
ただ、さっきまでと同じように舞う音は聞こえなかった。
目を閉じて目が戻るまで耳でなんとかしようとしていると、ルカさんのいつも通りの声が聞こえた。
鬼の前なのに、宿敵の前なのに、いつも通り。
穏やかだが断定口調だった。
目が、開くようになってきたがまだ世界が明るい。
その時やっと、目が戻った。
ルカさんは最初の位置から動いておらず、笑顔を作ったままにこやかに会話している。
ソイツは舞うのをやめ、何もせずに突っ立っている。
善逸は鼻についた風船が割れ、刀を構えていた。
同じタイミングで目が戻ったらしい伊之助とクルトと、目が、合った。
目が合ってからほぼ同時に鬼に向かって踏み込み、首に向かって斬りかかる。
それぞれが邪魔にならないように、それでも避けられても無駄にならないように逃げ道を塞ぐように。
それで次々に斬りかかり、絶え間なく攻撃をする。
全て上手く避けられ、受け流されているが、少しずつクララさんの方へ向かうことができている。
明らかに駄目そうな攻撃を技を出して相殺する。
斬られたその飛ばされた斬撃は地面に落ちると、湯気と焦げた匂いを発した。
全員が当たらずに避けた後、ルカさんが呑気に話して体勢を立て直す時間を作り、また攻撃を始める。
さっき言っていた「ちんぷ」がどういう意味なのかわからないが、とりあえず同じ手を使う。
まるで私たちの頭の中が読まれているかのような具合で躱される。
戦線は膠着状態だった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。