第138話

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2026/03/03 21:00 更新







次の朝早く、それぞれの鎹烏により起こされた私たちは時透さんのところまで話しながら歩いて行った。






珠羽によると、「親切」で他の人が行き始める前に起こして訓練をもっと長く受けられるようにしてくれらしい。









あなた
ねぇ、昨日そういえばさ、見回りしたなら訓練が軽くなるとか言ってなかった??
あなた
クルト見回りあった??
クルト・バルシュミーデ
いや?
あなた
カナヲは?
栗花落カナヲ
なかった
あなた
ほら!!!
あなた
なんで同じ予定でやらされてたわけ!?
珠羽
気づくのおセぇよ!
あなた
えー!? 嘘だったってこと!?
クルト・バルシュミーデ
他のやつらはちゃんと軽くしてたぞ
あなた
はぁ!?
あなた
最悪!!








そうこうしているうちに、着いてしまった。






竹林に周りを囲まれている、至って普通な少し広いだけの日本家屋である。











クルト・バルシュミーデ
失礼します






そう断ってから入ると、中で一人素振りをしている時透さんが見えた。








私たちが入ってきたことで素振りをやめ、視線をこちらに向ける。









時透無一郎
あぁ、来たの
時透無一郎
三人だけ?
あなた
いえ、もう三人あとから来ます
時透無一郎
そう
時透無一郎
えっと……、君はしのぶさんのところの……
栗花落カナヲ
栗花落カナヲです
あなた
ドイツから参りまして、風柱様の継子になりましたあなたです
クルト・バルシュミーデ
同じく元音柱の継子のクルトです
時透無一郎
うん、わかった
時透無一郎
とりあえず、始めよう
時透無一郎
まずはカナヲからでいい?
栗花落カナヲ
はい








恐ろしいほどの無表情で話す時透さんと、口元に薄い笑みを浮かべたままのカナヲが木刀で向き合った。









先に動いたのはカナヲ。




勢いよく踏み込んで的確に首を狙いに行った。









時透無一郎
踏み込みが甘い
時透無一郎
もっと力を一点に集中させて








その攻撃は簡単にいなされ、追撃もすべて反応されてしまっている。






しばらく打ち合ったあと、唐突にすごい速さで動きギリギリで反応したカナヲの木刀を砕いて終わった。









時透無一郎
時透無一郎
えーっと、あなた?
あなた
はい








私の呼吸は近接攻撃にあまり向いていないことがわかったので、ここで近距離の打ち合いを学びたい。






そう思い、まずは首を狙って下から斬り上げる。










時透無一郎
力が分散してる
時透無一郎
足と腕、そんなに力込めなくていいでしょ








力込めすぎ??




普通にしてるつもりで……





普通に、







あぁそういえば。







体の中に何もないから、少し使い方が違うのか。










時透無一郎
そう、良くなった








そう言って更に追い詰めてこないのが時透さんの素敵なところだと思う。
どこかのクソメガネとは違って。









時透無一郎
筋肉の弛緩と凝縮を早く
時透無一郎
刀を振り上げるとき力入れすぎ
時透無一郎
ほら、変なところで力が入ってる
あなた
……っはぁ!






考えることが多い!





その言葉を辛うじて飲み込んだとき、時透さんが今までより深く息を吸い込んだ気がした。









来る。

 






あなた
……っ!







さっきのカナヲみたいに折れないように、後ろに下がりながら受け流す。





が、追撃に適応しきれず木刀が折れてしまった。









時透無一郎
クルト・バルシュミーデ
お願いします








時透さん、力が強くて今現在腕が疲労を訴えている。




打ち合っているクルトを観察しながら、筋肉を伸ばしたりして体を休める。










右、左、左……はフェイントで本命は下……あ、空振り。




追えている。






柱の動きが、追えている。
はっきりと。









あの、煉獄さんの動きを辛うじて捉えていたあの頃よりは確実に、上。






でも、勝てる道筋は見えない。













そう自覚した。










上、上、左、フェイント入れて下。


二刀流なのに押されているクルトが、なぜ押されているのか。







真剣に、真剣に見ていたら、その日の夜が来てしまった。








時間が、足りない。









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