次の朝早く、それぞれの鎹烏により起こされた私たちは時透さんのところまで話しながら歩いて行った。
珠羽によると、「親切」で他の人が行き始める前に起こして訓練をもっと長く受けられるようにしてくれらしい。
そうこうしているうちに、着いてしまった。
竹林に周りを囲まれている、至って普通な少し広いだけの日本家屋である。
そう断ってから入ると、中で一人素振りをしている時透さんが見えた。
私たちが入ってきたことで素振りをやめ、視線をこちらに向ける。
恐ろしいほどの無表情で話す時透さんと、口元に薄い笑みを浮かべたままのカナヲが木刀で向き合った。
先に動いたのはカナヲ。
勢いよく踏み込んで的確に首を狙いに行った。
その攻撃は簡単にいなされ、追撃もすべて反応されてしまっている。
しばらく打ち合ったあと、唐突にすごい速さで動きギリギリで反応したカナヲの木刀を砕いて終わった。
私の呼吸は近接攻撃にあまり向いていないことがわかったので、ここで近距離の打ち合いを学びたい。
そう思い、まずは首を狙って下から斬り上げる。
力込めすぎ??
普通にしてるつもりで……
普通に、
あぁそういえば。
体の中に何もないから、少し使い方が違うのか。
そう言って更に追い詰めてこないのが時透さんの素敵なところだと思う。
どこかのクソメガネとは違って。
考えることが多い!
その言葉を辛うじて飲み込んだとき、時透さんが今までより深く息を吸い込んだ気がした。
来る。
さっきのカナヲみたいに折れないように、後ろに下がりながら受け流す。
が、追撃に適応しきれず木刀が折れてしまった。
時透さん、力が強くて今現在腕が疲労を訴えている。
打ち合っているクルトを観察しながら、筋肉を伸ばしたりして体を休める。
右、左、左……はフェイントで本命は下……あ、空振り。
追えている。
柱の動きが、追えている。
はっきりと。
あの、煉獄さんの動きを辛うじて捉えていたあの頃よりは確実に、上。
でも、勝てる道筋は見えない。
そう自覚した。
上、上、左、フェイント入れて下。
二刀流なのに押されているクルトが、なぜ押されているのか。
真剣に、真剣に見ていたら、その日の夜が来てしまった。
時間が、足りない。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。