いつもなら『おかえり』って言ってくれるのに
今日はしーんとしている
出かけているわけではなさそうだ
稽古でもしているのだろうか
庭の方へ出てみると
陽の光を浴びながら
気持ち良さそうに眠る無一郎がいた
こうして寝顔を見ていると
普通の子供に見える
とても柱とは思えない その寝顔
そう言って無一郎の頭を優しく撫でた
何だろう…
凄く愛おしくてたまらなくなる
私と変わらないくらいの髪の長さ
無一郎はこの髪型が良く似合う
と思ったけれど
どうやらまだ夢の中のようだ
彼は柱だけど
身体はまだ14歳の小さな少年
一体この小さな背中に
どれ程の責任が伴っているのだろう
少しでも無一郎への負担を軽くしてあげたい
その為には今のままで満足してはいけない
無一郎を支えてあげたいんだ
一体どんな夢見てるんだろう…
夢の中でも私と会ってくれているの?
当分顔の熱は引かないようだ
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。