〜しのぶside〜
食堂に着くと、人が賑わっていていた。
私は空いている席を探し、場所取りをして食べ物を取りに行った。
私は好物である生姜の佃煮を見つけ、他には白ご飯や味噌汁などの和食を持って席に戻る。
いただきます。と言おうとしたところ、轟さんに話し掛けられた。
轟さんは何故か目を細め、真剣な顔で私を見てくる。意味が分からない。何なんですかこの人は。あ、冨岡さんみたいな人だった。
私は、思ったより普通のことを聞かれて吃驚しながらも、
と答えた。
とは言っても、轟さんはあまり人と話すタイプではないので、何を話したらいいのか分からない。
ずっと前で蕎麦をすすっている。
蕎麦を完食したのか、轟さんは口を開いた。
聞きたいこと。これはまぁ、答えられる範囲なら答えるか。
初っ端からなんちゅー質問しとんだ。
隠してること。それは轟さんが私の言動を見て、どの辺で何を隠していると思ったのか。適当に答えると後でボロが出そうなので、質問の内容はなるべく詳しく聞くことにした。
あー…確定で前世関連だ…。こんなの話して信じる人がいるわけない。話せば今のご時世、完全に頭おかしい人認定させる。
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは、速やかに屋外に避難してください』
「轟さんの気のせいですよ。」私はそう言おうとしたけれど、いきなりセキュリティ3が突破されたという情報で周りがざわつき、一瞬で混乱状態になってしまった。
私は人混みに呑まれ、されるがままだ。
轟さんが私の腕を掴み、少し空いた隅っこへと避難する。
私は今、轟さんに言わゆる壁ドンをされていた。
…ファンに殺されそう。
あ、この人分かってないな。いやまぁ、でしょうねとしか言いようがない。だって轟さん、ドが付くほどの天然だし。
雄英高校のセキュリティ、別の言い方で雄英バリアは、物凄く頑丈なはず。マスコミごときが、セキュリティを突破して侵入出来るものではない。そうなれば、敵が関係しているとしか思えなかった。
遠くで飯田さんの声がして、どうやら皆を落ち着かせて、まとめているようだ。やっぱり、彼が委員長でもいいと思うんですけどね…
そして、飯田さんのおかげで皆の混乱はなくなり、何とか事無きを得た。
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終礼
〜✕side〜
「ほら委員長始めて」と言われた緑谷は少し慌てながら席を立つ。
緑谷のこれから言おうとしてる内容が、今日のマスコミ騒動で大抵察していたしのぶは心の中で緑谷にエールを送る。
緑谷の意見は賛成され、相澤にも許可を得て、1年A組の委員長は飯田になった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。