彼女は夢を見ていた
自分でも夢だと分かっていた
こんな都合が良いモノは夢でしかないと
けれど起きようとしなかった
夢くらい都合が良くてはな、と思った
目の前にはデルキラ、サリバン、ポロが立っていた
時系列的には丁度収穫祭の真っ最中だった
悪魔学校の収穫祭は昔、もっと大規模だった
魔界のほぼ全体を使い、争いを起こした
他生徒が白旗を上げれば、上げさせた者の勝利となる
そして全生徒が白旗を上げれば
上げさせた者が若王となり、1つルールを追加できる
特例があるがほぼ何でも叶えられるそれは
悪魔の欲をそそった
逃げても善し、隠れても善しの
66日間が始まろうとしていた
デルキラは「 ありがとうな 」と笑ってあしらった
デルキラは「 もちろん! 」と笑顔で返した
彼女はそれをただ見ていた
眉を細め、口角は上がっていた
そんな事を考えていたら
彼女の後ろから重みがかかった
暖かく、程よくガタイの良い
それに抱きしめられた
感覚さえ本物の様で驚いた
耳元で聞こえたソレに彼女は目から雫が流れた
優しかった
本当に、心が温まるほどに
1つ、瞬きをすると
そこは茶色の地面だった
土の温もりが消え
少しひんやりと冷たかった
夢から覚めてしまったのだと
彼女は少しだけ悔やんだ
ソイを起こすため、寄ってみると
彼はトランペットを抱えていた
彼は良い夢でも見ているのか
少し微笑んでいた
その様子に、悪夢を見た彼女は誂いたくなった
トランペットを取ってみると彼は反射的に目覚めた
眠いと云う様に彼は目を擦った
その言葉にほっと胸をなで下ろしたソイ
彼女はその様子に少し安心したが
また口を開いた
彼女の予感は的中する
まるで百発百中の矢が刺さっているかの様に
抜こうとしても、強く刺さって取れないのだ
6時の放送後
彼らと接触して挨拶を交わして
奥の方へと進んだ
魔獣によって周りに囲まれた4人
オロバスやオチョが手を出す間もなく
彼女の魔術で倒した
オロバス・ココはソイの方向へと向き
手をかざそうとした
彼が家系能力を使うとすぐに判断し
彼女がソイを守る様に出た
オロバスは口角を上げた
彼女が初めから私を狙っていたのだと
自覚するには時間がかからなかった
だが、身体が動かなかった
足元のツタが邪魔をした
そしてオロバスは家系能力を使った
彼女がよろけた瞬間
地面から、黒い箱型のモノが現れ
彼女を包んだ
そしてそれは天へと上がり
空中で止まった
眉をひそめ、少し心配をするオロバスだったが
オチョの言葉で納得をした
その言葉はどんな魔術よりも
邪悪で、離してくれないモノだった
それを聞いて、今だと確信したプルソン・ソイ
自分は収穫祭で優勝とか、位級昇格とかは
どうでも良かった
だからこそ自身の身を投げ捨てる覚悟で
収穫祭本部へと向かった
オロバスはオチョ、生徒に気づかれないように
足早に、走った
こんなに走るのは久しぶりだと
少しプルソンの口角が上がった
その頃、黒き箱では
彼女は頭を抱えてしゃがみ込んでいた
そんな声が無数に聞こえる
誰かの声、言葉なら良かったのだ
知らない者に云われても気にしない悪魔が
ジュウシマツ・あなたの性格だから
けれどその声や雰囲気、言い方は
デルキラそのものだった
彼女はオロバス家の幻燈だと分かっている
分かってはいるが、震えは止まらなかった
あの焼印を押した彼から
その様な言葉を聞いただけで
顔色は真っ青に、あの赫い唇は青く
数刻まで宿していた星の欠片があった瞳さえも
闇のなかに放り込まれてしまった様だった
刻一刻と時間だけが過ぎていく













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。