teruto side
僕達は夜闇の中、紛れるように見を屈めていた。
先に見えるのは、1つの大きな館。
ここに侵入し、チップを盗み出せば終わりだ。
固そうな見た目と裏腹にセキュリティは緩い。
事前の調べで把握している。
だが、この任務に出向いて帰ってきた組が存在しないらしい。
それ故に成功報酬があそこまで高かったのだ。
わざとらしくかっこつけて笑う。
僕の合図で、門番の入れ替わりの隙を突いて襲撃した。
2人の門番は僕たちそれぞれの腕に抱かれ、門は半開きになっている。
中の様子が変わりないのを確認して、僕達は侵入に成功した。
目的の部屋までの行き方は頭に入っている。
そまちゃは後ろを着いてきている。
それだけであるが、まぁ仕方ない。
後ろからバカデカため息が聞こえた。
バレたらどうするの(会話しながら言うことじゃない)
機械を起動してPCでハックする。
チップが保管された厳重なセキュリティを壊した。
僕はわざとらしくエンターキーをたんっと強く鳴らす。
ずっと一人でやっていたボケを、ようやく拾ってくれる人ができた。
すぐビンゴだから待ってなよ。
ふざけるのも大概にしないと、一応命が掛かってる。
僕は最後のエンターキーを押す直前、指を止めた。
僕の心臓が嫌な予感を察知した。
僕はそまちゃの目を見る。
頷いて、体勢を整えたのを見て、僕は手を掛けた。
エンターキーを押し込む。
現れたチップに手を伸ばす。
一息に取り出して、振り向いて走る。
それとほぼ同時に、警告音と建物の振動が僕達を襲った。
そんなそまちゃの声すら小さく聞こえるほど、爆音の警告音。
この振動は恐らく、建物を封鎖しているのだろう。
そして続く別の振動は、大人数の足音だ。
ちらと目をやった大窓が、鉄板で塞がれていた。
きっと出口となり得るものは全てこうなった。
開けたホールに出ると、僕は足を止めた。
足音に耳をすませ、そちらを凝視する。
何十、いや、何百もの男達が、武器を持って現れた。
中々の巨漢ばっかり。
ここで皆、死んで行ったのだろうな。
奴らは口を開かなかった。
少しくらい話してくれたっていいだろうに。
そまちゃにまで否定された。
僕は頬を膨らませて睨む。
まぁ、この程度の数ならなんとかなるだろう。
銃とナイフが同化した、僕だけの武器。
そまちゃにも使い勝手は悪いけど、これを渡した。
慣れればいい。
敵の動きに合わせて、僕達は動いた。
やっぱり、これだけ図体がデカいと動きも遅い。
僕はすぐに目の前の男共を蹴散らした。
定期的にそまちゃの方に目をやるけど、問題は無さそう。
僕のように一方的では無いけど、ちゃんと対面に勝ち続ける程度の力はあるみたい。
僕の速さに衝撃を受け、固まっていた1人に飛びつく。
心臓に銃の先から伸びた刃を刺し、銃口がぴったり胸板にくっついてから引き金を引く。
確実な致命傷が刻まれるから、これが好き。
結局、来ても死ぬんだけどね。
そまちゃと叫びながら話す。
もう少しで全員が片付く。
そんな時だった。
頭上から響いた笑い声。
悪魔か何かが現れたのかと思った。
見上げた先に居た影は、迷いなくこちらへ落ちてくる。
僕はジジイじゃない、なんて思った。
けど、違った。
その人は、周りの巨漢を次々となぎ倒して行った。
どうやら僕達の味方のようだ。
そまちゃと顔を見合せて、僕達も後ろに続く。
殲滅が目的なのだろうか。
彼は建物の深部へと向かっていった。
彼がそう話しかけたのは、恐らくこの組織の頭。
顔を青くしたそいつは、瞬きの間に首を飛ばされていた。
その言葉を最後に、静かになる。
ごそごそと体を漁る彼の背中に話しかけた。
納得した。
ここが借金返済を滞納していたのだろう。
強い漢共がいるからって。
漁りきって札を握り締め、悪態をつく。
僕は口を開いた。
新小説のお知らせ
【さよならを知らない恋】🩵🩷

coming soon












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。