春を呼ぶというスノードロップ。
その花を大切にしているサリーちゃん。
渡したのは、手編みの手袋。
その手袋を、はめると、サリーちゃんの頭に手をのせて・・・・
そう言って笑ってくれたお兄ちゃん。
この優しさが前から好きだった。
可愛そう・・・・じゃなくて私を一人の家族として迎えてくれた・・・・お兄ちゃんと、お義父さん。
そうだね、竹。
いまなら、竹が私にいってくれたことがわかる。
ありがとう。
いつのまにか日付はかわっていた。
13日に×印をうつ。
俺は両手で自分の頬をパチンとぶった。
そして、部屋を見渡し・・・三人が写る写真を見つめ、
そう呟いたら・・・
どこからか声がした
シルエットだけ見えたような?
俺には、そう言ってくれているように聞こえた。
空耳かもしれないが・・・・
みんなと過ごしたこの日々のために・・。
与えられた命の時間に・・・・
感謝します!
そして俺は最後の仕事に出る!!
俺は、がちゃりとドアを開くと・・・いつ藻の道を歩き出した。
14日目~最終日~
とうとうこの日が来てしまった。
舞台当日。
みんなは、準備でバタバタしているかと思いきや、以外にも冷静で・・・・
ダメだな、俺。みんなとさよならするって決めてきたのに・・・・
みんなの顔を見たら・・・・
俺の肩に手をおき、前を歩こうとした。
バンっと、和也の背中を叩いた
これでいいんだ。もう、思い残すことはない。
今日の舞台をやりきるだけだ!!
俺は、竹に耳打ちした。
竹は目を見開いたままでいる・・・
竹はまだ、信じられないみたいだ
そう笑ってごまかしていた。
竹は俺の言葉を揉み消すかのように自分の仕事をこなそうとしていた・・・・。
舞台に立つ俺と、和也を見ながら・・・・
さっきの俺の言葉を・・・
俺との会話を思い出していた、竹。
ビービー
夢の幕開け・・・・
俺の人生最後の扉が開こうとしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。