一方その頃、看守庁本部という、政府では非公認になっている施設の廊下を、1人の少年が歩きながら通話していた。
『本当にこの中から合格者が出るのか?』
通話口から、男の声が聞こえた。
「はい、初期段階のチョイスは問題なしです。」
少年がタブレットの資料を見ながら報告する。そして「はあ~っ」と軽くため息をつくと、
「っていうか‼」
と叫んだ後、通話は一方的に切れた。
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暗い部屋の中で、1人の男がパソコンをいじっていた。男の顔は仮面で隠されており、素顔は分からなかった。ふと、扉が開き、少年が入ってきた。
「何回も電話してこないでくださいよ!天鬼本部長!」
天鬼は注意をされ、少し戸惑った。
「というか、またこんなに部屋暗くして…。」
と、少年が言うと、部屋の明かりのスイッチを入れた。部屋に明かりがついた衝撃で、天鬼が顔を隠す。
タノシミはそんなこともお構いなしに天鬼に質問をした。
天鬼は映像を拡大した。そこにはジュンとホスト、リヒトとバーボンがいる。
どうやらタノシミ、リヒトとバーボンと知り合いの受刑者のようだ。
タノシミは映っているジュンとホストを見て訊いた。
天鬼が呆れたように言った。タノシミは再び映像を見て、天鬼に言った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!