第8話

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2025/05/02 23:54 更新
それから一ヶ月ほど経った。


ウェストン校に通ううちに、体力や筋力がつき、杖を突いて1人で歩けるようになった。


ある日、ラゼはいつも通りウェストン校に行く。


だけど、ハンナがいない。どうしたのだろうか…?

カインは、いつも通り、ピーフォーを眺めながらベンチに座っていた。

カイン
遅いなぁ


そう呟き、空を見上げた。
ラゼ
お待たせしましたわ。
カイン
あ、噂をすれば


滅多に使わないお嬢様口調で登場。

まぁ、気分だろう、と気にしないカイン。
リゼ
お兄様〜〜!!
ラゼの車椅子を押していた手を離し、グリゴリーの方へ走っていくリゼ。

あれ?ハンナは?いうような顔をするカイン。
グレゴリー・ヴァイオレット
リゼ!?なんでここに…
チェスロック
お、リゼじゃねェか。久しぶりだなァ


グリゴリーの寮弟とリゼは面識があるらしく、手を振ってリゼを歓迎している。


その様子をいかがわしげに見ていたカインは、ベンチを立って、車椅子を押す。


カインが手を差し出し、その手にラゼは掴まり、杖をついて立つ。

2人が腰を下ろすと、カインが口を開いた。
カイン
珍しいね、ハンナがラゼと一緒にいないなんて。
何かあったのかい?

ラゼが、黙る。なんだか、空気が重くなった。
ラゼ
…最近、ある事件が世間を騒がせていますわよね。
カイン
なんか今日の君口調が変だね。
なんかチクチクしてるよ?
ラゼ
質問に答えてください。
カイン
あ、あぁ。うん。「令嬢殺し」だったけ。
連続殺人のやつ。それが一体…


カインが目を見開き、ハッと口を抑える。
カイン
まさか…!
ラゼ
えぇ、ハンナが…。被害者に…。


ラゼが俯く。
ラゼ
お友達がいなくなってしまいましたわ…。
カイン
……


カインは、どんな言葉をかけるべきか、複雑な顔をしている。
カイン
ぼっ…


カインが口を開いた。
カイン
僕が!君の友達になるよ!
だから…、ね?そんな寂しそうな顔をしないで…。
ラゼ
ふふふ、同情ですの?
カイン
そんなんじゃないよ!ほら、僕は君のお医者様だよ?
患者の要望を聞かなくてどうするの!


そう、必死になるカイン。

その必死さを感じとったのか、ラゼがまた笑う。
ラゼ
そうですわね、そう…。
ラゼ
なら、私のお願いを聞いてくださいますか?
カイン
もっちろん!
ラゼ
では、私のお友達になってください。


ラゼがふわりと笑う。
カイン
いいよ、僕が君の友達になってあげる。
僕の患者だもん!


カインがニッと笑う。
ラゼ
では、早速遊びましょう。いつものお花畑で。
カイン
りょーかい!


ラゼが車椅子に乗る。カインが車椅子を押し、橋を渡った。


今日も、ラゼ・ヴァイオレットは健在だ。

それがいつまでも続きますよう…。

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