第55話

逃げろ
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2026/02/15 06:00 更新
___Noside
:
:
in forest
ギルダ
じゃあ……つまりひとまず日光が差し込まず
地上まわりがこの寒さの内は
ギルダ
あの動く根っこに襲われてまた地下に
落とされることはないってこと?



外はマフラーを巻きたくなるほどの寒さであった。
エマ
多分。
ドン
全く!今が冬で良かったな!
じゃなきゃ危なかったぜ!
ナット
いや、なんかさっきの地下冬にしか開かないっぽいぞ。
ナット
本の中、ここ。
ナット
"アルヴァピネラ"は冬にしか入れない伝説の洞窟だって書いてある。
ドン
…………。
ギルダ
冬じゃなきゃ良かったわね。



















エマ
でもおかげでわかった。
エマ
「外」がこれほど未知だってこと。
そしてこの本の意味。
ドン
手引書ガイドブックか。
エマ
そう……物語に隠して「外」を生き抜く
様々なヒントを私達に教えてくれている。




「危険」と「対処」「あいての弱点」




それから__







レイとあなたはそんな話をする子供たちから少し離れてあるものを見つけた。



レイが声をかける。
レイ
エマ!あったぞ!
こいつがそうだ!









見た目はイソギンチャクのようで、一体何なのか分からず全員でハテナを浮かべた。
ナット
えっと……何これ?
レイ
水だ。
子供たち
えっ!
あなた
ウーゴの話に出てくるんだよ。
真水を貯め込むイソギンチャク!
ドン
イソギンチャク!?
あなた
見てて!



あなたの言葉で、レイはナイフを取りだしてそのイソギンチャクに切れ目を入れた。




中からプシュッと水が溢れる。
レイ
これは植物で"イソギンチャク"は
ただのたとえにすぎない。
レイ
でも本の通りならこの水は飲める。
レイ
いちいち川まで行かなくていい。
レイ
未知の環境で何より困るのは
「食べ物と水」だ。
レイ
何が食えて何が毒なのかすらわかんねぇからな。
レイ
それについての情報を貰えるのはありがたい。
エマ
「外」は確かに危険がいっぱい。
知らないことも敵も多い。



エマはニコリと笑って全員を見据えた。
エマ
でも大丈夫。
私達は一人じゃない。
エマ
家族がいる。味方もいる。
エマ
ミネルヴァさんに会いに行こう。
エマ
生き抜こう。
まずはこの森を抜けよう。
















少し進み出した子供たち。
先頭のドンが振り返る。
ドン
エマ、方角はこっちでいいか?
エマ
うん!
エマ
ただ地下にいる間にちょっとズレた。




エマは先程レイに見せたペンを取りだして
カチッと二段階引っ張った。





モニターにはB 00-15と表示されている。
レイ
成程。
それは現在地・・・か。
エマ
レイ
B 06-32もB 00-15も位置を表す……
所謂"座標"だ。
レイ
数字は左が南北、右が東西の距離か。
レイ
いや……ハウスを出た時まず北東から……
そして今「南へ向かってる」んだから……、
レイ
B 06-32地点……南__正確には
だいぶ東寄りの南に向かってるってわけだ。
エマ
合ってる…………、
レイ
エマ
怖っ!!
何そんな一瞬で……!怖っ!
レイ
別にここまでヒントありゃわかるって。
あなた
この数字、最初ハウスで見た時は
アルファベットなしの00-00だった。
レイ
成程。じゃ今はハウスから丁度真東に。
レイ
さっきB 01-14だったから
さっきよりちょっと北へ戻っちまったってわけか。
レイ
で?エマはどうやってこれが"位置"
だって知ったんだ?
レイ
そもそもなぜ「B 06-32地点へ向かう」って…?何故そこにミネルヴァが…、
エマ
…………。
エマは、何やら言いずらそうに口ごもった。
躊躇ったあとレイにペンを手渡した。
エマ
はい。
レイ
エマ
ノーマンが「ペンを見ればわかる」って。
エマ
わかんなければ「レイかあなたに見せればわかる」って。
レイ
つまりエマはわかんなかったんだな。
エマ
途中までは・・・・・わかったよ。
レイは、モニターに表示されたモールスを読み取った。









彼にとってモールスを読むことは造作もないことだった。
なぜなら彼は彼女とそれで"彼らだけの"会話をしたことがあるから。




"touch me"(私に触れよ)






レイがモールスの通りに画面に触れると
画面が切り替わった。
エマ
私もそこまではわかった。
レイ
まぁ、エマこういうの苦手そうだからな…。





レイは少し見たあと閃いたように顔を上げた。
レイ
ああ!そうか、そうだったのか。
エマ
やっぱりわかるんだ!
あなた
流石の速さだね。
レイ
エマ、あの本。
もう一冊の方・・・・・・
エマ
レイ
モールスのない・・マークの……神話の本。
レイ
あれ、このペンの暗号書コードブックだ。
エマ
"コードブック"?
あなた
そうそう。正解。
エマ
え、正解って、あなたは知ってたの?
あなた
私はノーマンと一緒にこのペンを見たから。
エマ
(私以外分かってたんだ……、)
レイ
ほら、ここに同じ"モールスのないマーク"
があるだろ?


レイはモニターと本を見比べた。
レイ
つまりこの本を鍵に暗号を解くんだ。
レイ
13-18-02は暗号で
"答え"を入れると次へ進む。
レイ
例えば本の13ページ18行2単語目。




"HUMANヒューマン"(人間)







レイが文字を打ち込むと、また画面が切り替わって
文字が現れた。
エマとレイ





"助けが要るなら訪ねておいで"







"B 06-32地点に私はいる"







"ウィリアム・ミネルヴァ"




エマ
ミネルヴァさんからのメッセージだ!
レイ
ノーマンとあなたはこれを見たんだろう?
あなた
うん。
レイ
そして次の暗号とその"答え"。
レイ
こうして何段階かに分けて情報が__





文字を打ち込んでいる最中
皆の動きがピタリと止まった。





ペンと本を閉まって辺りを見渡す。
エマ
ねぇ、二人とも……
レイ
ああ……何か来る。







ゴゴゴ、と遠くも近くも聞こえるおぞましい音が全員の耳に届いた。
ナット
嘘だろ……またなの!?






皆の後ろにあった大きな木がバキリと音を立てた。













そこから得体の知れない化け物が現れる。
レイ
逃げろ!!!
「𝐦𝐞𝐦𝐨𝐫𝐲」




「はじめてのおめでとう」






_脱出直後_
レイ
あなた、さっき言い忘れたけどありがとな。
レイ
大事にするよ。
あなた
素直なレイ珍しい。
レイ
いや、今までは死が近づいてることを実感する誕生日って日は嫌いだったんだ。
レイ
でもお前のおかげで嫌いじゃなくなった。
あなた
レイ
俺にもお前の誕生日祝わせろよ。
レイ
来年も、再来年も。
レイ
この先もずっと。
あなた
ふふっ、レイの胸元が埋まっちゃうくらい
プレゼント作っちゃおうかなー。
レイ
やりすぎだ。

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