第32話

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2020/09/09 02:12
そのとき誰かが私を後ろに引っ張った。
私がバランスを崩してその誰かの上に落ちた。
モトキ
モトキ
いってー。
(なまえ)
あなた
!!!
モトキ
モトキ
お前何してんだよ!
私は思わず走り出した。今は会いたくない!
モトキ
モトキ
待て!
モトキ
モトキ
待てっつってんだろ!
足の速いモトキに追いつかれ腕を掴まれた。
(なまえ)
あなた
離して!放っておいて!
腕を離してくれない。振りほどこうとするとさらに強く掴まれた。
フェンスから遠い壁のあるところに連れてこられた。腕を離してもフェンスにのぼられないように。
モトキ
モトキ
今、何しようとしてた?
(なまえ)
あなた
腕、痛い。
モトキ
モトキ
何しようとしてた?
モトキは腕を離してくれた。ホッとしたのも束の間、壁ドンをしてきた!
怒ってるのが分かって怖くて顔をあげれない。下を向いていると…
モトキ
モトキ
お前…屋上で何やってんだよ。
モトキ
モトキ
落ちたら死ぬんだぞ!
(なまえ)
あなた
それを望んでた。もう疲れた。
そう言って立ち去ろうとしたとき両手壁ドンで私の動きを封じ込める。
モトキ
モトキ
それを望んでた?ふざけんな!
人がせっかく、話を聞いてやろうと来てみれば!
(なまえ)
あなた
もういいよ。今さら話すことなんて何もない。教室に帰るからどいて。
モトキ
モトキ
断る。ちゃんと話すまでここをどかない!
(なまえ)
あなた
はぁー(ため息)
話すったってもうどうでもいいし。
モトキ
モトキ
・・・
(なまえ)
あなた
好きじゃないモトキくんにこんなことされても困ります。迷惑でしかないの。さようなら。
モトキの腕の下をくぐり屋上を出た。
好きじゃないなんて嘘。今でもモトキが好き。でもこうでもしないと自分を保てない。こんな状況では授業も受けれない。たぶんモトキは教室に戻った頃。教室には戻らずもう一度屋上に行った。
そっと屋上を覗いてみる。誰もいない。私は壁に寄りかかり腰をおろした。
これでいいんだ。私とモトキはあの日にもう終わってたんだ。
今でも私の部屋にはプレゼントしようと思っていたスニーカーがおいてある。
私がいつまでも持っていてもしょうがないからスニーカーと共にモトキへの気持ちも捨てよう。
(なまえ)
あなた
いつかモトキよりも好きな人できるかな?
空を見上げ、一人呟いてみる。
モトキ
モトキ
今言ってたことホント?
(なまえ)
あなた
!?
モトキ
モトキ
ねぇ。今のホント?
(なまえ)
あなた
何でいるの?さっき見たときいなかった。
モトキ
モトキ
あそこから見たら俺のいた場所、死角なんだよね。
(なまえ)
あなた
ちゃんと見ればよかった…
モトキ
モトキ
そんなことより今、言ってたこと…
(なまえ)
あなた
何のこと?何か言ったっけ?
モトキ
モトキ
あなた、ごまかしてもムダ!
あなた。二ヶ月ぶりに呼ばれた名前。さっきまではお前ってしか呼ばれてなかった。
名前を呼ばれることがこんなにも嬉しかったっけ?
(なまえ)
あなた
モトキ…私の名前…
モトキ
モトキ
あなた?
嬉しすぎて涙が出てきた。見られたくなくてモトキに背を向けた。
モトキ
モトキ
こっち向いて?
(なまえ)
あなた
それはムリ。
モトキ
モトキ
こっち向いて!
(なまえ)
あなた
ムリ!
するとモトキが後ろから抱きしめてきた。
(なまえ)
あなた
!!
モトキ
モトキ
もう一回聞く!俺より好きな人できるかな?ってことは今でも俺のこと好きってこと?
(なまえ)
あなた
うん。(小声)
モトキは私をクルっと回して今度は正面から抱きついてきた。私の頭の中はちょっとパニック。
(なまえ)
あなた
あの…モトキ…
モトキ
モトキ
ちょっと黙ってて。
心臓が凄くドキドキしてモトキに伝わりそう。

~しばらくして~
モトキ
モトキ
ふぅ。落ち着いた。
そういうと座り、『隣おいで。』と優しい声で言ってきた。私は言われた通り隣に座った。
モトキ
モトキ
あのさ…俺もまだあなたが好きって言ったらどうする?
(なまえ)
あなた
でも、もう終わったし。やり直しはないかな。
モトキ
モトキ
何で?
(なまえ)
あなた
何でって。やめたほうがいいと思う。別れたのこれで二回目だよ?
モトキ
モトキ
別に気にしないけど…
(なまえ)
あなた
いや、続かないのは相性悪いとか?
モトキ
モトキ
あなたさ、それ何か理由探してるよね?何で俺とやり直したくないの?
(なまえ)
あなた
それは…
モトキ
モトキ
ん?
(なまえ)
あなた
モトキの彼女としてやってく自信がありません。
モトキ
モトキ
でも俺のこと好きなんでしょ?
(なまえ)
あなた
好きだけど…
モトキ
モトキ
じゃ問題ないじゃん。
(なまえ)
あなた
また別れることになるかもよ?
モトキ
モトキ
それはお互い努力しよ?
(なまえ)
あなた
んー。どうしてもやり直したいの?
モトキ
モトキ
どうしても!
(なまえ)
あなた
んー…
どうしようか悩んでいると…モトキが私にピッタリくっついてるのが分かった。
(なまえ)
あなた
あの~モトキさん?近すぎませんか?
なにやら悩んでいる私を見て楽しそうにしてる。人の反応を見て楽しんでるだけか…
(なまえ)
あなた
やっぱりやり直しは…
『やっぱりやり直しはない。』と言おうとしたとき、モトキにキスされた!
(なまえ)
あなた
何?
モトキ
モトキ
やり直しはない。って言われたくないから、やり直しはない。って言おうとするたびキスするよ?
(なまえ)
あなた
え?
モトキ
モトキ
どうする?やりなおす?やり直さない? 
私は手で口を押さえて…
(なまえ)
あなた
やり直さな…
ムダな抵抗だった。モトキの力には勝てずあっさり手を掴まれてキス!
モトキ
モトキ
何回拒んでもいいよ!そしたら何回もキスできるから!
私には『やり直す』しか選択がないのか…

モトキはまた私が『やり直さない』と言うのを待つかのように顔を近づけて、もう少しで唇が触れるか触れないかのところにいる。
(なまえ)
あなた
やり直…
モトキ
モトキ
(*^3^)
(なまえ)
あなた
す!
モトキは嬉しそうにキスをしてきた!
どっちを選択してもキスはされたのね。

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