" 少し、距離を置こう "
そう言った瞬間。
今まで聞いたことがないほど低い
ライの声が耳に入った。
下を向いているからか
いまいち表情が掴めない。
あまりの空気の冷たさに
居た堪れなくなり、顔を逸らし
そう言うと、即座にそう言い返されてしまう。
_____ライが、怒っている。
それも、今まで私が見たことないくらいに。
ライの問いかけに、思わず口籠ってしまう。
離れたいわけではない。
ただ、このまま一緒にいても良いことがないと
判断しただけであって……
私の曖昧な返事に、ライの囁く様な
そんな声が聞こえる。
……何、それ。
ライの言葉に、ひゅっと息が詰まるのを感じる。
それは、まるで私のすべてを調べて
把握しているかのような言いぶりで。
ライが、一歩、また一歩と
私が下がる度に近づいてくる。
目の前にいる彼は、私の仲間である
"伊波ライ"とは到底似ても似つかなくて
真っ黒で、ドス黒い感情に呑まれた
知らない人間のような気がした。
恐怖のあまり、腰が抜け
壁ドンのような体勢になったとき。
隣の扉が音を立てて開き
リビングの光とともに、金髪の彼が現れた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。