みんなでくつろいでいるといきなりゆあんくんが声を上げた。
と、訳の分からないことを言い出したじゃぱぱ。
それまでピアノを弾いていたうりも手を止めて話に入ってきた。
大きなトレーに紅茶やらコーヒーやらのカップを乗せてみんなに配りながら言ったのあさん。
元気よく言ったのは狐の獣族、白狐冬塗駆。
そう言ったのは花族の青花菜桜樹里。
と、なおきりさんの頭を指さす。
彼の頭にはいつも花の冠が乗っているのだが、その花が感情によって変わるのだ。
ハツユキソウの花言葉は「好奇心」「祝福」「穏やかな生活」。その中でも今は「好奇心」が発動しているから、彼は俺の話に興味があるらしい。
本を読む手を止めて言ったのは魔族の紫鏡模巫。
もふくんは本が大好きで頭がいい。常に新しい知識を欲しがって、よく俺も話をしている時がある。
そう言ったのは天使の羊天光楼。
みんなの押しに負けて俺は話し始めた。
20年前
突然だが、俺には親がいない。
いた記憶はあるのだが、なぜ今いないのかは分からない。
確か俺が3歳くらいの時にはいなかったんだっけ。
俺は6歳にしてでかい屋敷にたった1人で住んでいた。
散歩にでも行こうと思い、屋敷近くのいつもの森に入った。
少し歩くと遠くの方から誰かの気配がした。
気配のする方へ歩いていくと、1人の女の子がうずくまって震えていた。
その子の服はボロボロだけど髪は鮮やかなピンク色。背中には蝶族特有の小さな薄い羽が生えていた。
話しかけるとびっくりして肩を跳ねさせるその子。
弱々しい声が聞こえた。
と、聞くとその子は小さな声で、
と言った。
まだ俺と同い年か少し下かくらいなのにそんなことがあったなんて…
さっきまでの暗い顔が嘘のように明るい顔を見せるのあちゃん。
と、少し俯くのあちゃん。
俺も同じように聞いた。
と、大きな目を更に大きくして輝かせるのあちゃん。
あの後すぐの時は小さかったから家事も全然出来なくて、毎日がギリギリの生活だった。
でも、2人で協力して色々やっていくうちにたくさんのことが出来るようになっていった。
と、のあさんに視線を向ける。
そう言ったのは堕天使の堕死关斗。
と言ったのは蛙の獣族、蛙四麻。
彼に言われて後ろを振り向くと、
笑いながらそう言ったのは妖精の水星流流。
俺たちは生活するのにお金や物資が足りなかったので、とある仕事をしていた。
俺たちの仕事というのは、森の調査だ。
まだ、解き明かされていない謎がある森や、危なくて人が入れない森などの調査依頼を受けていた。
ガチャン
早速森の中に入って少し歩いてみる。
グスッ…グスッ…少し遠くの方から泣き声が聞こえてきた。
声のした方へ歩いていくと、男の子が2人、座って泣いていた。
2人とも怪我をしているようであまり動けなさそうだ。
2人の目線に合わせるようにしゃがみ、問いかける。
赤茶色の髪の子は俺より少し下くらいだろうか。
言葉がはっきりしていて警戒心が強い。
もう一方の赤髪の子は随分と子供に見える。まだ10歳にも満たなさそうだ。
ゆあんくんというのはきっと赤髪の子のことだろう。
生贄の文化…吸血鬼か…
吸血鬼の村では毎年5人ずつ神に生贄を差し出すという恐ろしい風習があるらしい。
と、小さな声が聞こえた。
そう言って俺は赤髪の子に背を向けてしゃがんだ。
これ誘拐にならん?((
と、後ろに顔を向けて聞く。
小さく首を振った。
さっきまで泣いていたとは思えないほどの笑顔を見せるゆあんくん。
と、再び顔を輝かせる。
と、ゆあんくんが俺の頭に生えている兎の耳に触れた。
ゴンゴンッ
大きな扉を叩くと低く鈍い音がした。
キィィ…
と、2人に視線を向ける。
怪我の手当もして、ゆあんくんには血も吸わせて、森の調査も無事に(?)終わった。
てかなんで俺毎回森で人拾ってんの?((
まだ3人みたいな子達がたくさんいそうだな…
これからも見つけたら助けてあげないと…
そう言って立ち上がったのあさん。
俺もソファから立ち上がり研究室に向かった。
サイコパスコンビの怖さを思い知った日であった。
























編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。