第3話

0章『開園の時間です』(非)日常編
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2025/12/13 08:00 更新
ゆらゆらと体を揺さぶられる。どこか遠慮がちな振動で、私はふっと目を覚ました。
???
んぅ…
???
あ、ごめんね、起こしちゃって…
硬いベンチから慌てて体を起こす。

目の前には人が1人。その人は私が起きたことを確認すると、そっと隣に腰を下ろした。

あれ、てか私なんで寝てたんだっけ…?あ、そうだ。今日って確か希望ノ島学園の入学式だったんだ。ん?でもそれが寝てた理由にはならないし…。何より場所が合っていないんだよね。

そこまで考えて、目の前の人に思考を戻す。私を起こしてくれたこの人は一体何者なんだろう。

その疑問を汲み取ったかのように、彼女は話を始めた。
???
まずは自己紹介…かな?
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
はじめまして、超高校級のデザイナーの篠宮藍莉シノミヤアイリです!
そう言って彼女は薄紫のツインテールを揺らし、柔らかく笑った。

超高校級のデザイナー…。確か某スレ板によると、服やアクセサリーのデザインを考えてる人だっけ。可愛らしさや繊細さが特徴の作風で、言い値がつくくらい有名だとか…。

というか、自己紹介してもらって黙ってるのも感じ悪いよね。まずいまずい。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
こんにちは、私は狩宮翠葉カリミヤスイハ
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
超高校級の猟師やってるよ
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
じゃあ貴方もここの新入生ってこと…?
私が首を縦に振ると、藍莉は納得したような安心したような表情を浮かべた。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
ところで一個聞きたいんだけどさ…
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
ここって本当に希望ノ島学園で合ってる?
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
多分合ってると思うけど…
私がそんなことを聞いたのは、目の前に広がっている景色がとても学校とは思えなかったからだ。

軽快な音楽と共に、カラフルなアトラクションが稼働音を鳴らしている。
そう、ここは紛うことなき遊園地なのだ。

いや、一応知ってはいるんだよ?
希望ノ島学園が教育の方針に合っているとかで「ホープアイランドパーク」っていう遊園地を併設していて、地域の活性化にも尽力してるってことくらい…。

ただ、それにしてもおかしい。着ぐるみは無くとも、普通キャストやゲストはいるだろう。人っ子一人見当たらないのは何かしらの異常ではないだろうか。

それに、私は入学式へ参加するために来たのだから、遊園地エリアではなく学校エリアを目指していたはずだ。一体なぜこんな所に...?
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
でも周りに誰もいないし、ちょっと怖いね…
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
誰か他にいないのかな…?
人っ子一人見当たらない中に響く明るいBGMがやけに心をざわつかせる。

何となく暗くなってきた気分を吹き飛ばすように、私は勢いよくベンチから立ち上がった。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
よし、行こ!藍莉!
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
行こうって、どこに?
突然大声をあげた私に少々面食らった様子の藍莉が私に尋ねる。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
そりゃもちろん、他の場所だよ!
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
私達と同じように迷ってる新入生もいるかもだし、何より先生を探さなくちゃ!
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
…それもそうだね、行こっか!
【シノミヤ アイリの絆のカケラを手に入れた!】
ぶらぶらと2人で当てもなく歩いていると、どこからか声が聞こえてきた。
???
ほんとに全然人いないねー
???
もしかしてあたしたち以外既に死んじゃってたり、なーんて
???
えぇ?!怖いこと言わないでよ...
少し気だるげな声と、はつらつとした明るい声が聞こえた。
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
誰かいるみたいだね…
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
ちょっと声かけてみよっか
そう言って私は声がした方へ駆け寄っていく。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
はじめまして、おふたりさん
???
お、新入生?
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
そうだけど…ということは2人も?
???
うん、大正解!
目の前の2人は見たところ私達と同じくらいの年に見える。同じく新入生ということで間違いはないだろう。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
私は狩宮翠葉、でこっちが…
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
篠宮藍莉だよ!
私達が自己紹介をすると、2人もこちらの番だとでも言うように口を開いた。
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
あたしは灰宮晴亡ハカミヤハナ、超高校級の無神論者だよ
???
え、さっきと言ってること違くないです?
超高校級の無神論者なんて新入生に居たっけ…?と思う前に、隣の彼女がツッコミを入れた。
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
えー…別にどっちでも良くない?
???
いやそこくらいはハッキリしといた方が...
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
ちぇ、仕方ないなぁ…
そう言うと晴亡は私達に向き直った。
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
無神論者ってのは嘘、ほんとの才能はシスターだよ
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
ま、それでもあたしは神なんか信じないけどねー
無神論者じゃなくシスター…?随分とテイストが違う。というか真反対だろう。

そういえば、超高校級のシスターに関する情報はネット上にほとんど上がっていなかったっけ。まあわざわざ才能を隠そうとしたくらいだし、そうでなくとも人間秘密の1つや2つくらいあるだろう。気にしない気にしない。
???
あ、次私かな?
島家 あかり
島家 あかり
私は島家あかりトウカアカリ、超高校級の開拓者です!
島家 あかり
島家 あかり
よろしくお願いします!
超高校級の開拓者...。ああそうだ、「現代の二宮金次郎」だ。彼女のアドバイスを受けて改善を重ねれば、次々と移住者が集まり、財政問題まで一挙に解決してしまうとか...。
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
ところで、2人とも何かここについて知ってることってない?
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
んー…特にないかなぁ…
島家 あかり
島家 あかり
私達、ついさっきここで目が覚めたばっかりだからね...
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
私達と同じ感じだね...
特に収穫は無し…と。まあ私と似た境遇の人が他にいることを知れただけで収穫ではあるか。
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
2人はこの後どうするの?
島家 あかり
島家 あかり
そりゃあもちろん、探索だよ!
あかりの目がキランと光ったように見えた。と思うと、唐突なマシンガントークが始まる。
島家 あかり
島家 あかり
だってさ、私こんな大規模な遊園地初めて来たんだから!こんな広大な敷地をどうやって効率化して管理してるかも気になるし、アトラクションの配置にも工夫があるだろうし、集客の方法も知りたいし、それにそれに...!
狩宮 翠葉
狩宮 翠葉
す、ストップストップ!熱意はよぉーく伝わったから!
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
ま、確かにそろそろ移動する頃合かもねー
まだまだ話し足りなそうなあかりは少し物足りないといつた顔をしているけれど、晴亡の言う通りそろそろ他の場所に行ってもいいかもしれない。

きっとこのままここに居ても何も変わらないし、分からないから。
灰宮 晴亡
灰宮 晴亡
てことで、ばいばーい
篠宮 藍莉
篠宮 藍莉
またねー!
晴亡とあかりの後ろ姿に手を振って、私達もまた歩き出した。

【ハカミヤ ハナの絆のカケラを手に入れた!】
【トウカ アカリの絆のカケラを手に入れた!】

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