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第1話

彰司 恋の自覚
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2025/10/18 10:49 更新
Kaede
Kaede
基本受け視点で進みます!
ほんの少し、触れただけで__

天馬司side

オレはその時、先生に頼まれた荷物を運ぶ為に階段を下りていた。
天馬司
天馬司
結構重いな…

荷物はそれなりに大きさがあり、持つと足元が完全に見えなくなってしまう。

オレは足元を確認しながら一段ずつゆっくりと下りていた。







はずだったの、だが。
天馬司
天馬司
あ、

足が階段から離れる。

オレは階段を踏み外し、今にも落ちそうになっていた。

視界が回り始める。

オレは、これから来るであろう痛みと衝撃に備えて固く目を瞑った。











ドサッ!!











天馬司
天馬司
…?
衝撃音がする。

しかし、予想していた痛みはない。

恐る恐る目を開けると、オレンジ色の髪が視界に舞った。

オレはその後輩の名を呼ぶ。
天馬司
天馬司
あ、彰人!?
東雲彰人
東雲彰人
司センパイ、何してるんすか

淡々とした声で後輩__彰人は言った。

オレはその声に返事を返す。
天馬司
天馬司
あ、あぁ…先生から頼まれた荷物を運んでいてな…
天馬司
天馬司
階段で、足が滑って…
東雲彰人
東雲彰人
そっすか
天馬司
天馬司
というか、彰人こそどうしてここに?
東雲彰人
東雲彰人
別に、たまたま通りかかっただけっすよ
そしたら、アンタが階段から落ちそうになってたんで
天馬司
天馬司
そうなのか…助かった、礼を言う

彰人は答えると、オレに言った。
東雲彰人
東雲彰人
…つか、司センパイ、自分の今の状況わかってます?
天馬司
天馬司
え…?

そこでオレは初めて、今の自分の状態に気が付いた。

彰人の腕がオレの背中にまわっていて、その腕の中にオレがかばわれている。
天馬司
天馬司
っ!?///

気づいた途端にオレの顔に熱が集まってくる。
天馬司
天馬司
あ、彰人、本当に助かった、感謝する!
天馬司
天馬司
で、では、またな!

会話を無理やり終わらせ、その辺に転がっていた荷物を持ち直してその場から離れる。

オレの顔は、林檎のように真っ赤になっていた。

彰人に見られてはいないだろうか…?

赤くなった顔が見られないように、持った箱を少し高めに持った。

天馬司
天馬司
(なんだ!?ちょっと触れただけなのに…)
天馬司
天馬司
(どうしてこんなに、胸がドキドキするんだ!?)

…そういえば、咲希がよく言っていたな…

「恋」をすると、その人に会うだけで胸がドキドキして、苦しくなるのだと。

些細なしぐさや言葉に、キュンとするのだと。

ま、まさか…
天馬司
天馬司
オレは…彰人に、「恋」した、のか…!?

歩きながら、いつもとは程遠い、とても小さな声で呟いた言葉は、誰の耳にも届くことなく消えていった。

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